中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4373回
株主は自分の都合ばかり考えるな

日本人が買える中国株ということになると、
さしあたり香港市場に上場されている中国株と、
上海、深圳に上場されているB株ということになります。
B株はさして大きな動きはないし、
新規の上場もないので、
専ら香港H株ということになりますが、
香港H株は香港証券交易所の規定に従って運営されております。

そこへ日本人が割り込むわけですから、
当然、向うの規定に従って売買することになります。
上場会社が何のために上場しているかというと、
事業をやるための資金が莫大になり、
民間からその資金を集める必要があるから上場するのであって、
株を買った人たちを儲けさせるために
上場しているわけではありません。

ところが、株をやる人は儲けることしか頭にない人が多いので、
株が下がっても文句を言うし、
株が下がるような動きがあっても文句を言います。
たとえば儲かって業績もいいのに配当をしない会社があります。
当然のことながら株主の不人気を買い、
株価が低迷することもあり得ます。
では経営者がなぜそういうことをやるかというと、
昨今のように銀行が金融引締めをやると、
中国のように銀行が国営の国では、
国営の企業でない限り、
必要な資金が借りられなくなる心配があるからです。

ですから運営資金に困らないことを重点において物を考えるのは
中国の経営者の常識であって、
気前良く現金配当をするよりも内部留保を優先させます。
その代わり株配をしたり、
何年かに一度無償増資をして株主に報います。

そういう心得のある会社であるかどうかを
見極めることが大切であって、
「お金が儲かっているのにケチな会社だ」
ときめつけるのは中国の経済事情を知らない
駈け出しの投資家と言ってよいのではないでしょうか。

殊に昨今のように世界的に不況がのしかかっている時は、
そうしたことも頭に入れておく必要があるのではないでしょうか。


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2012年2月29日(水)

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