中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4389回
1%しかいない志士に期待しています

円高に追われて日本の企業はドンドン海外に移動しています。
企業が移動すれば、
それを運営する経営者と技術者も一緒に移動します。
しかし、人件費や諸経費のコスト・ダウンを狙ってのことですから、
従業員を全員連れて行くわけには行きません。
業種にもよりますが、人をたくさん使う仕事なら、
100人に1人も連れて行ったら、いい方でしょう。
そうなると、99人が失業して
新しい仕事を探がさなければならなくなります。
仕事が見つかればよろしいのですが、
仕事を探がしている間に時間がたってしまいますから、
日本全国が失業者と老齢人口で溢れるようになってしまいます。

そういう心配があるので、私は若い人たちに海外に出て、
世界を新しい土俵にして自分たちの人生を築くことを、
新年号の週刊ポストで薦めました。
そうしたら、賛成するどころか、
「俺たちに国を出て行けとは何事だ。お前こそ出て行け」
という反論が賛成の100倍もあって、
日本人は植物であって
動物でないことを改めて再認識させられました。

アフリカで働いている中国人が100万人もいるのに
日本人は7000人しかいないことを例にとって
日本人の海外進出が少いことを言及すると、
人口比で大して違わないじゃないかと反論するあわて者もいて、
「さすがに桁が1つ以上違うよ」と注意する人もいましたが、
中国人に比して一桁以上も違う人しか
世界を目指す人がいないとなると、
老齢化する日本で老人の世話をする人も
深刻に不足するようになります。

アメリカやヨーロッパの先進国はどこも移民を受け入れていますが、
日本だけが扉を堅く閉じるどころか、
「朝鮮もシナも出て行け」となると、
どうやって年寄りの面倒を見るのでしょうか。
100分の1の海外で働く人の仕送りで
あとはロボットの世話になるのでしょうか。
たとえ1%にすぎなくても、
志のある若い人はこれから発展するアジアに出て
日本のために力を盡くす必要があるのではないでしょうか。


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2012年3月16日(金)

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