中国株、海外起業、海外投資、グルメ、ファッション、邱永漢の読めば読むほどトクするコラム

第4399回
生き残ることに長けた日本人

第一次石油ショックによって日本がピンチに追い込まれた時に、
日本人が考えたことはエネルギーを節約することと、
コスト・ダウンのためにオートメ化をすすめることでした。

石油の消費量を減らさなければ買うお金にも困ったので、
ガソリンが少くてすむエンジンの改良に全力を盡したし、
値上がりする労賃を節約する方法を考えなければ
輸出に急ブレーキがかかってしまうので、
100人かかってやっていた仕事を
10人で間に合うシステムの開発に全力をあげました。

結果としてコスト・ダウンに成功したので、
メイド・イン・ジャパンは以前より名声を博し、
日本の輸出を一段と促進したことは皆さんご承知の通りです。
こうした改良は主として日本製の自動車や電気製品に起ったので、
改善とか改良は工業の分野に集中しているように見えますが、
実はこれは日本人の職人気質から生まれた発想なので、
農業から流通業、サービス業の全分野に行き届いた
日本人の長所です。

たとえば、松阪肉とか神戸ビーフと呼ばれる日本の牛肉は
日本人によって改良されたもので、
今や世界中にその名を知られるようになりましたが、
歴史はそんなに長いものではありません。
明治の初めに天皇のご一家がはじめて牛肉を食べた記事が
当時の新聞に報じられています。

にも拘らず一旦、日本人が手がけるようになると、
品種の改良からはじまって、霜降りの肉のつけ方、
さては種つけに至るまで細心の注意が払われて、
ヨーロッパに負けないだけの
超高級ビフテキを提供できるようになったのです。
ですから、産業界がピンチにおちいると、
日本人は合理化に懸命になり、結果として新しい活路を見出します。
バブルがはじけると、日本経済が駄目になるのではなくて、
バブルがはじけたなかで生き残れる新しい工夫がなされるのです。
養豚も神戸ビーフに次ぐ日本の新しいビジネスじゃないでしょうか。


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2012年3月26日(月)

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