元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第20回
なぜ日本人は食道ガン、咽頭ガンに罹りやすいのか?

食道ガンからリンパ節に転移した作家の川上宗薫さんにも、
現役の頃は週刊誌の連載小説をお願いし、
やはり何度か銀座のバーでお酒をご馳走になった思い出がありますが、
性豪作家と言われるわりには、
本当に気配りのある「いい人」でした。
「僕の命が危ないと思って闘病記を頼みに来たのだろう」と笑いながら、
「遺作 死にたくない!」に続く、最後の絶筆も雑誌に連載してくれました。
惜しい作家を失いました。

作家だけでなく、ロマンチストでこよなくお酒を愛した学者、評論家
そして俳優にも食道ガンのケースが多いのには驚きます。
ノーベル物理学賞を受賞した朝永振一郎さんは食道ガンと分かり、
声が出なくなる確率が9割以上という難手術にも耐えて、
亡くなられたと聞きます。
文芸評論家の亀井勝一郎さんは、
同じ頃、食道ガンで亡くなった『高見順日記』を読み、
自分の症状を推し量りながら闘病したと言います。
作家のガン闘病の系譜については、
柳田邦男氏の「ガン50人の勇気」(文春文庫)に詳しいので
知りたい人は一読を進めますが、
評論家の平野謙さん、作家の阿部知二さんも食道ガンで
亡くなられたそうです。

また、ストレスの激しい仕事の俳優にも食道ガンの犠牲者が多い。
小坂一也さん、岸田森さん、ちかくでは三浦洋一さん、
そして元アナウンサーの山川千秋さんも食道ガンでした。

ガンはまさにその人の波乱万丈の人生を運命付づける病といえそうです。
歴史を紐解けば、
栄誉栄華をほしいままにした太閤・秀吉の死因は
胃ガンのようですが、戦国の武将には食道ガン説が上げられる
豪傑も多いのには驚きます。
真偽をたしかめようはないのですが、
上杉謙信や毛利元就にも食道ガン・咽頭ガン説が残っています。
中国の要人・周恩来も食道ガンと闘いながら執務を続けたと聞きます。

意地悪く言えば、食道ガンは暴飲暴食やふしだらな生活の報い、
あるいはインテリの贅沢病ということも出来ましょうが、
なぜ日本人や東洋人にかくも食道ガン、さらに咽頭ガンが増え始めたのか?
わが身が食道ガンに蝕まれて以来、この謎がいつも心の隅に残っていました。
ところが謎解きの答えを得るチャンスがある日訪れたのです。
知合いの阿部博幸さんという医師が日本初の「遺伝子ドッグ」を開いて、
遺伝子を診断すれば
「あなたがなぜ食道ガンにかかったが分かりますよ」
と誘ってくれたからです。


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