元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第33回
人間は勝手に生きているのではなく、
山河草木に生かされている…

ガン病棟を退院してから、僕は酒浸りの自堕落な生活を改めました。
再発や転移の不安を振り払い、心を落ち着かせるために、
早朝6時から、小1時間の公園散歩を
「心の療法」のひとつとして日課に組み込みました。
近くの善福寺川沿いに和田堀公園という大きな公園があります。
出勤前のサラリーマンやOLが走るジョギングコースとしても人気です。
早朝の木漏れ日のあちこちで、
老若男女がゆったりと太極拳や気功の練習をしています。
橋を渡って緩やかな坂を登ると、
鎮座940年、武蔵の国・八幡一の宮といわれ、厄除け子育ての神様を祭る
大宮八幡神社の赤い鳥居が聳えています。
ここをお参りして、郷土博物館や古代竪穴住居遺跡を廻って、
サッカー場を2,3周するのが散策コースとなっています。

退院以来、敷き詰められた石畳と玉砂利をかき分け、
八幡宮の「お百度踏石」を何度踏みしめたことか?
ガン封じのお参りは壱千回を超えました。
ただ神頼みするのではなく、正心調息法という腹式呼吸を繰り返して、
木々や草花からの新鮮な酸素を貰って心身の浄化に努めました。
ガンになって初めて、日頃の呼吸が浅くなっていることに気づきます。
仕事の緊張のとき、パソコンに熱中しているとき、
人間は驚くほど小さな呼吸しかしていないのです。

春は梅、桜の花が咲き乱れ、
やがてツツジの季節が過ぎ、夏にはサルスベリに赤紫の花がつきます。
秋はイチョウが黄葉して銀杏の実が落ち、
冬とて牡丹花が真っ赤に咲きこぼれます。
クヌギ、アカマツ、コナラ、スギ、ヒノキ、ケヤキ…
多少は排気ガスにやられて元気を失った木もありますが、、
雑木林が発散する早朝の清清しい吐息に心が洗われます。
ガンを宣告されてから、普段は気にもとめていなかった、
木々の枝のざわめき、朝露に光る野草の彩り、そのひとつひとつに、
たくましい命の息吹が感じられるから不思議です。
もちろん、命のはかなさ、死の恐怖に気を落としたこともありましたが、
やがて散歩と呼吸法を繰り返していくうちに、思いは逆転します。
小動物が薬草に傷口を摺り寄せて治すように、、
野生の草木が恵みの雨を受けて再生するように、
天然自然の生命エネルギーの力を借りれば、
己にもまだまだ自然治癒の道が残されているのではないか?
そうだよ! 生まれたままの姿に戻れば命は蘇るはずだ!
人生観が逆転して来るのが分かりました。

別に宇宙生命の哲学の境地に凝り固まることが、
「ガンに克つ近道だ」と押し売りはしませんが、
人間は己の勝手で生きているのではない!
山河草木の中で生かされているのだと気づけば、
誰しもが、命の再生力の有り難さを思い知らされるものなのです。
ぜひ、あなたも早朝の散歩を健康日課にとり入れてみてください。


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2002年9月29日(日)

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