元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第50回
1日10時間、チベット高原を4輪駆動車で駆抜けました

僕も命を拾ってから、10回ほど欧州、中国、韓国など、
あちこち海外に出ましたが、
これほど強行軍の旅はありませんでした。
「風の旅行社」というチベットなどの
秘境ツアーを得意とする会社にスケジュールを頼みましたから、
ちょっと個人旅行では行けないような
辺境の珍しいお寺や宮殿にも連れていってくれたわけです。
岩だらけの山道を4輪駆動車で這うように駆け上がり、
土砂崩れの水溜りを飛び越えて、
1日、5時間も、長いときは10時間も突っ走りました。

チベットに行きたかった理由は命の運試し、
つまり、生命の風(ルン)といったものを
体感したかったこともありますが、
チベット曼荼羅のタンカという
壁掛け壁画を収集する趣味があったので、
チベットの首都・ラサにあるポタラ宮殿を見て、
いくつか曼荼羅タンカを買ってくればよい…
はじめは、それくらい安直にチベットの旅を
考えているところがありました。
ところが、あとでこの旅行社のホームページで
調べて分かったのですが
参加したツアーは中級コースと書かれていましたから、
山登りやトレッキングに縁のない癌爺には
それはきつい旅となったわけです。

総勢は16人でしたが、
1/3が僕たち夫婦と同世代の中年のおじさんとおばさん、
あとは20代、30代の夏期有給休暇を取ってきた
若いサラリーマンやOLの皆さんでした。
いまの若い人はチベット密教や瞑想といったことにも
本を良く読んで勉強しているようで、
別に仏の道を悟りに来たわけではないのでしょうが、
笑みを称える観音菩薩のような寂静尊や
まさに仁王立ちになった明王の噴怒尊を拝んで周りながら、
愉しそうに記念撮影したり、世間離れした聖地の旅を、
皆、快活にに楽しんでいるようでした。

もちろん、秘境のベテラン旅行社のガイドでしたから、
高山病の対策も万全でした。
欧州のアルピニストが使う高山病対策のノウハウを
十分に取り入れて、
緑内障の薬「ダイアモクス」という錠剤を
飲むとよいことも教えてもらいました。
あとは酸欠を防ぐために、大きな深呼吸で息を吸ったり吐いたり。
添乗員のNさんがまるで、
子供をあやすようにアドバイスを飛ばします。
「昼寝をしたらいけません。酸素が欠乏しますよ」
「水をがぶがぶ飲んで
血液がドロドロにならないようにしましょう」
「東京のように早足で歩いては体が消耗しますよ」
お蔭で、高山病にも罹らず、
チベットの心地よい生命の風(ルン)に吹かれる気分で、
全員が4輪駆動車で山坂を駆け上ったのです。


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2002年10月16日(水)

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