| 第147回あなたのガンの5年生存率は?
 病院の治療成績を判断する5年生存率はガン患者にとっては延命の目安となるわけですが、
 いったい、どう計算されるのでしょうか?
 本当に信用できるのでしょうか?
 5年生存率というのは、
 ガン治療開始から5年間生存した患者の割合を意味します。
 ガンが治っても
 あと5年しか生きられないという意味ではありません。
 例えば100人のうち60人生きていたら
 5年生存率は60%ということになります。
 ただし、再発せずに生存している人も
 再発しているが生存している方が含まれます。
 がん治療開始から5年間再発がなければ、
 多くのガンでは治癒となります。
 たとえば、平成13年に公表した
 「大阪府の5年相対生存率(%)」という統計があります。
 (表20 5年相対生存率(%);主要部位別)
 
  1994年の全ガン患者の生存率は41.2%ということになります。
 乳房、子宮及び膀胱のガン患者が
 68〜79%の高い生存率を示し、
 胃、結腸、直腸、卵巣、前立腺及びリンパでは36〜60%。
 これに対し、食道、肝、胆、膵及び肺は
 4〜17%と依然低い生存率にとどまっています。
 もう一例、都立・駒込病院がホームページで公表している「主ながんの術後 
          5年生存率(%) 」を見てみましょう。
 
           
           
            | 5年生存率’(%) |   
            |  | 全体 | Stage 
              1 | Stage 
              2 | Stage 
              3 | Stage 
              4 | 手術後1ヶ月以内の死亡率 |   
            | 食道がん | 52 | 87 | 68 | 27 | 8 | 2 |   
            | 胃がん | 70 | 95 | 84 | 55 | 10 | 0.7 |   
            | 大腸がん | 66.6 | 92.8 | 81.5 | 61.5 | 10.3 | 1.4 |   
            | 結腸がん | 67.2 | 93.2 | 83.2 | 67.5 | 11.3 | 1 |   
            | 直腸がん | 63.9 | 91.7 | 78.5 | 54.1 | 7.5 | 2 |   
            | 肺がん | 42 | 76 | 47 | 39 | 12 | 1.5 |   
            | 乳がん | 86.2 | 96.8 | 88.6 | 73.7 | 41.9 | 0 |  こうした現場の統計数字を見ると、いかにまだガンの治療が難しいか?
 また、患者がなぜ必死になって
 「5年の余命」を周到に掴むべきなのか?
 よく分かると思います。
 相対生存率というのは、より数値を正確にするために、
 国立がんセンターなど一般集団の期待生存率で
 実測生存率を割り算し、補正して算出したものです
 早期診断の普及度や、ガン治療の進歩により、
 年々、生存率はあがっているようですが、
 難しい部位のガンの生存率は依然と低いようです。
 ですから、ひとつの命のモノサシとして
 あなたのガンの生存率を知っておくことは大切です。
 まず5年間、そしてさらに5年間と目標を定めて、
 養生設計や覚悟を決めることが大切です。
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