元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第168回
分子標的抗ガン剤・イレッサは本当に末期肺ガンの特効薬か?

肺ガンの新薬「イレッサ」の副作用で死者が出たという
新聞記事はまだ記憶に新しい事件です。
間質性肺炎など肺障害の副作用が291件発生、
81人が死亡したという記事でした。(2002年11月)
以後、死亡者は124人と増えました。
腰の重い厚生労働省もやっと原因究明を指示し、
製薬会社も国内での患者を対象にした
臨床試験を始めました。 
イレッサといえば正常細胞を傷つけず、
ガンそのものを攻撃する「分子標的癌治療薬」として期待され、
また肺がんの8割を占める「非小細胞肺ガン」で、
手術ができなかったり、再発したりした患者に
1日1回1錠を経口投与すればよいというので、
2002年7月、世界に先駆けて
日本が初めて認証した画期的な?肺ガン治療薬でした。
厚生労働省は、エイズ治療薬を除けば最速の5ヶ月余りの審査で
世界に先駆けて承認したガン新薬だけに、
こんどの事件には、
医師たちだけでなく、患者も驚いたはずです。

以後、「アメリカでも承認されていないし、
有効性も低いのになぜ認可が急がれたのか?」
「新薬認定にかかわる薬品メーカーと
官庁・医療業界の不明瞭な癒着が問題だ」
と追及が上がる一方で、
「0.5%のリスクで20%の有効性が期待できるのだから
問題にするマスコミがおかしい」
「この事件でまたの新薬認可の手順が遅れるのが心配だ」
とする医療関係者サイドからの声もあがりました。、
イレッサ生みの親の英国の製薬大手アストラゼネカ社はというと、
「非小細胞性肺ガンは死に至るケースが多い深刻な病気で、
多くの患者にとってほかに薬がない」
「治療効果例も200名以上あり、副作用のリスクを上回る」
と強気です。
たしかに末期の肺ガンの患者には
朗報の抗ガン剤だったのかも知れません。
イレッサのメリットを評価するか?
リスクを心配するか?
最後は、それは治療を受けるサイドの判断でしょう。
しかし、抗ガン剤の副作用の疼痛に苦しんだ体験のある患者なら、
やはり100人以上が肺炎で亡くなったということは
聞き捨てに出来ないニュースです。


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2003年2月11日(火)

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