元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第192回
食道ガンの術後は大変です

とくに、食道ガンの術後は大変です。
ある有名な家庭医学書をめくると、
こんな耳障りの良い、バラ色の解説が載っています。
「治療の進歩によって進行した(食道)ガンでも
安全に手術が出来るようになり、
予後もよくなってきています」
しかし、前にも書きましたが、
七転八倒の苦しみの中で生死をさ迷った
多くの同輩患者たちの陰惨な結末を見るにつけ、
はっきりいって、この家庭医学書の解説は
患者を騙す甘言としか思えません。
インターネットで食道ガンのサイトを調べれば
すぐ分かることですが、
手術の難しさと予後の大変さでは群を抜いています。
膵臓ガンについで生存率が最悪というケースが
食道ガンの手術なのです。
100人中80人が助からないという難手術が実態なのです。

なぜ、食道ガン手術の予後が大変か?
喉、胸、腹を「3枚おろし」に切り開き、
40センチの食道を全摘出。
さらに胃袋の神経を抜き、ナス型に細く叩きのめして、
食道の代用として喉に繋げるわけです。
その方法も3通りあります。
1・背骨にそって喉に食道代用の胃袋をぶら下げる。
2・胸骨の裏側を通す。
3・胸骨の前を通す。

どれを選んだとしても、
心臓や肺といった中心生命臓器の回りを弄くる
大手術だということが分かると思いますが、
かりに上手く「代用食道」である胃が繋がったとしても、
喉と胃の膜は厚さが違い、
実に接合が難しいという欠点を持っています。
ですから、術後、後遺症、合併症を起こすばかりか、
食べ物を食べることにも難儀をするわけです。

代用食道である胃袋が胸骨などに圧迫され、
機能低下を起こして腸が張る、
また胃は雑菌に弱い性質を持っていますから、
食道ガンの術後は、極端な食欲不信で体重が減ることになります。
「術後はなんでも食べられますよ」どころではありません。
1・術後1〜10日は栄養点滴
2・術後20日は流動食
3・最低1年間は食欲不信。少しずつしか食べられない
4・2〜3年かかってやっと症状緩和
もちろん、この間に誤嚥を起こしたり、
合併症を起こしたり、院内感染に罹り、
命を落した同輩が何人もいて僕は本当に悲しい思いをしました。


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2003年3月7日(金)

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