元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第194回
苦しんで長生きすることが幸せでしょうか?

いま声高に叫ばれている医療改革にしても、
何かがおかしいと思っている患者は多いでしょう。
医療特区であるとか、
病院の株式会社化であるとか、
しきりに「医療改革」が叫ばれていますが、
スムーズに実行されるのは患者の医療負担増額ばかり。
どうも政府の徴税対策と医師の権益ばかりが優先して
患者サイドの治療選択についての施策は遅々として進みません。
まあ医療システム改造とは時間のかかる問題でしょうが、
それを待っていたのでは、
ガン患者の「明日の命」が持ちません。
医療システムもさることながら、
治療現場で繰り返される治療内容と患者無視の傾向は、
さらに酷くなってきているように思います。
とくに医療ミスや誤診といった極端なケースを
あげつらうわけではありません。

はっきりいって、いま殆どの大学病院の外科医は
切れば「ノルマ終了」と考えている節があります。
医師たちは手術が終われば「順調です、順調です」と
常套用語を連発して退院を急がせます。
ベッドの回転率をあげることが
ノルマ治療の要諦の1つだからでしょう。
故意に一人一人のサラリーマン医師を責めようとは思いませんが、
患者の方も「医師は神様」と
期待しすぎてはいけないと思います。
もし再発すれば、また切ったり、
叩いたりの治療を繰り返す。
副作用の疼痛に苦しむ患者を待っている
最後の仕打ちがモルヒネです。

これだけ命を台無しにするノルマ治療が
現行の保険医療制度の中でまかり通っていく…ここが問題です。
「命の現場」はこれでよいのか?
「切捨てご免」の治療に苦しみながら命を奪われていった、
何人もの同輩患者たちのことを思うと
僕は悔しくていたたまれません。
先日もテレビで著名な医師が
「現行の保険医療制度のお蔭で、
日本は世界に冠たる長寿国家になった」
と得意げに話していましたが、
はたしていま僕たちは本当に幸せな医療環境にあるのでしょうか?
そのノルマ医療の弊害でQOL(命の質)を落したまま、
疼痛と悶絶の「長寿」にさらされている患者も
たくさん生んでいるわけです。


←前回記事へ

2003年3月9日(日)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ