元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第221回
「日本人と身土不二」

日本人の食の堕落がはじまる30年前、
ミリオンセラーになった
樋口清之さんの名著「梅干と日本刀」の話の続きです。

この本を読んでいると、
たとえば日の丸弁当のひとつの知恵にも改めて驚かされます。
日の丸弁当とはご飯と一個の梅干だけのお弁当です。
これが胃の中に入ると梅干一粒が、
99%の米の酸性を中和し、
米のカロリーは食べた殆どが吸収される役割を果たす。
即ち、日の丸弁当は、食べてすぐエネルギーに変わる、
労働のための理想食…というわけです。
樋口清之さんや桑井いねさんの
「おじいちゃん、おばあちゃんの知恵」を
ないがしろにしたために、
いま日本人は長期不況だけでなく、
長寿難病の時代を迎えたのではないでしょうか?

「人間は元来、自然の中で生まれ、死んで行く生きものです。
ですから、自然と調和して生きることが、
実はもっと科学的なのです。
私共の祖先の知恵と云うものは一見、
不合理に見えながら、実は合理的であると云う、
「不合理の合理」に満ちています。(略)
西洋の科学は、ただ合理性を追求するが故に、
往々にして不合理を犯すこともあります」

樋口さんの警句をいまいちど噛み締めて、
いま1度、日本人らしい知恵を磨きましょう。
いろいろ日本人論が叫ばれ、
日本のアイデンティティが論じられています。
憲法改正や靖国神社を論ずる前に、
梅干から日本の将来を考え直す、
日本人の伝統的食習慣を個々の家庭から見直す…
こうした「心のスローへルス」が、
しなやかな民主主義を生み出すのではないかと、
僕はつくづく思っています。

なんども繰り返しますが、
身土不二=“人と土は一体である”とは、
ただの古びた食養生論ではありません。
日本人のライフスタイル全体に発想革命を呼び戻す、
命のキーワードなのです。
もう、欧米から借りてきた拙速思考イデオロギーに
振りまわされてはなりません。


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2003年4月5日(土)

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