元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第337回
長寿難病時代だから「患者学」

ガンは情報戦です。
いかに早く自分に合った治療法・養生法を見つけるか?
これが命の分かれ目となります。
ガンを宣告されたら必ず手にするのが、
有名タレントの語り下ろし「お涙頂戴式の闘病記」、
末期ガン患者の涙の美談ノンフィクション、
さらに手術や最先端治療の名医の自慢話、
いや「○○キノコでガンが完治」といった秘薬PR本…
などなどですが、
もうひとつ大切なことは患者の心の覚悟の決め方なのですね。
なんども書きますが「教授は神様」「なんでも医師頼み」、
この発想ではガンには勝てません。
そのためにも何冊かは「患者学」の本を読むべきです。

柳田邦男さんの「元気が出る患者学」や、
柳原和子さんの「がん患者学―長期生存をとげた患者に学ぶ」
といった作品を読んだ人も多いと思います。
僕も「賢い患者学/ガンは食べて治す」
「賢い患者学/命とこころの51章」といった本を
書いてきましたが、
いま発売中の「ガン患者よ、ドクハラと闘おう!
――5年延命を掴むためのスローヘルスのすすめ」

医療を患者本位に戻そうという主旨の患者学の本なのです。

患者学とはこれからの長寿難病時代には必要不可欠の学問です。
しかし、まだまだ医学の分野で公認されているわけではありません。
ですから、本を買いに行っても
書店での取り扱いはバラバラです。
「賢い患者学/命とこころの51章」などは
家庭実用書のコーナーにありますが、
こんどの「ガン患者よ、ドクハラと闘おう!」は
医学書のコーナーにあります。
「ストップ ザ ドクハラ」
「ドクターハラスメント」(いずれも土屋繁裕・著)や
「ブラックジャックはどこにいるのか?」
(南淵明宏・著)といった
ドクハラ医療糾弾本の一角に並べられています。

ところで土屋医師や南淵医師のように医師界内部から、
大学病院医局制度、医師教育制度を変えようという、
勇気ある改革案が生の声で提示されたことに注目すべきです。
患者学も患者による治療選別研究だけでなく、
医師と患者のあり方を問う
コミニュケーション研究というテーマも
これから増えていくと思います。

僕の本でも、インフォームドコンセント(治療の説明合意)、
カルテ(医療明細書)、レセプト(医療請求書)といった
患者の権利にかかわる問題を提示していますが、
これからは患者が医師と対等の立場で治療を受ける…
この患者本位の復権発想が大切な時代だと思います。

治療情報は医師からの一方通行ではいけません。
やがては「患者学」という書棚が、
大きく書店の一角を占めるだろうと僕は思っています。
ガンに打ち勝つには大学病院内部だけで通用する
医学常識や治療技術だけでは足りません。
毎週6000人がガンで命を落としています。
「患者の自立」の次に必要なのは
「患者学の知恵」の結集だと思います。

もし、幸運にもガン生還体験を持つ人がいたならば、
医師が分からない本当のデータを
後世に書き残せるのは「あなた」ということになります。
「気がつけば、あなたもガン」
まさに「明日はわが身」の問題として、
患者が、いや国民全体が
連帯して考えねばならない長寿難病時代なのです。
もはやガンは特殊な病気ではありません。


←前回記事へ

2003年7月30日(水)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ