元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第353回
勇気ある女医さんの本

ガン治療の大風呂敷な話が続きましたので、
治療現場に本題を戻しましょう。

ところで、ストレスで病気を併発する患者の続出に
世の大病院はほんとうに機能しているのでしょうか?
もちろん、大学病院に外科・内科といった
「身体科」だけでなく、
心を診る「精神科」の分野があり、
一見、人間丸ごとを診る医療体制が
立派に出来上がっているようにみえますが、
これがとても縦割り医療になっていて、
なかなか患者のストレスや
心身丸ごとで診てもらえるものとはいえないようです。
また、精神科とて外科や内科と同様で、
心の悩みも鎮痛剤で治そうといった
ここも心を診るというより、
マニュアル通りに薬を投入する医師が多いようなのです。

まえに「男医にはわからないこと」(三五館)という
女性の精神科医が書いた興味深い本を読んだことがあります。
なぜ、患者がベルトコンベア式に、
心無い医療を受けざるを得ないのか?
なぜ患者は薬漬け、検査漬けにされてしまうのか?
患者の精神的な悩みや
ストレスを無視した治療が
常識化している最大の原因は、
中世のギルド(徒弟制度)の中で育った
エリート男性医のマニュアル志向と
ヒエラルキー(権威)幻想にあるからだと指摘している内容です。

CT、MRIといった最新検査機器への盲信、
さらに患部局地殲滅戦争をイメージさせる
マニュアル医療とミクロ細分化治療が、
患者を治すどころか、
かえって患者に病院恐怖症を植え付け、
病状を悪化させかねないとも指摘しています。

この本は松井律子さんという
神戸でクリニックを経営されている女医さんが書かれたものですが、
病院環境が患者の様態までおかしくする、
当世病院事情の裏側がよくわかります。
別に僕たちのように
「ドクハラ」という用語は使っていませんが、
女医さんから見れば「ドクハラ」型治療の元凶が、
「男医優位、女医差別」の
近代医療の伝統にあると指摘しているわけです。
うん、なるほどと思いあたりませんか?


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2003年8月15日(金)

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