元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第669回
戦争危険地帯を行く

ガン病棟に長居をするより、
大自然の中で過ごすことが、
ガンをこじらせない近道だ――という
僕の体験的な闘病法のすすめの話の続きです。

僕たち夫婦は、
北京から飛行機でパキスタンに入り、
バスでインダス川上流をさかのぼって、
ヒマラヤ西麓の桃源郷・フンザを目指したのです。

こう書くと、いかにも
桃源郷を目指しての長閑な旅のように聞こえるでしょうが、
これが行って見てびっくり。
いまにもビルのように大きな岩が転がり落ちこんできそうな、
崖っぷちをパキスタン人の運転手が
時速150キロでぶっ飛ばすのですから、
生きた心地がしないというか、
なかなかスリリングな旅なのです。
崖っぷちの反対側は、
泥砂を含んだインダス川の激流が、
波を蹴立てて流れているわけです。

おまけに、
このパキスタン北部といえば
ちょっと前まで、
アフガニスタン戦争のときに、
戦闘集団・アルカイダの潜む、
危険地域としてテレビや新聞をにぎわしたところです。
また、もう少し前にさかのぼれば、
インドとパキスタンが領土争いで、
お互いにミサイルを飛ばしていた
カシミール地方の直ぐ隣です。

もちろん、隣の隣のイラクでは、
日本人ジャーナリストがイスラム過激派に殺された事件も
起こっていたわけですから、
やはり、いくら
「いまは平穏だ」という
パキスタン政府観光局の説明でも
いささか無謀な旅だったのかも知れません。
もちろん、いまだに日本の外務省でも
「渡航危険地域」の指定は解いてはおりません。

いやはや、幻の桃源郷で、
自然の英気を養おうと思っても、
現代社会の民族憎悪の壁は、
たやすく「自然と人間」の会話を
実現させてくれそうもないのです。
まさかと思ったのですが、
トンでもない事件が起こりました。


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