元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第738回
医者と患者の距離を縮めよう

ガン治療のあり方というと、
インフォームドコンセントだの、
セカンドオピニオンだの、
テーラーメード治療だの――
欧米の医療用語を借りてきた、
まさに耳障りのよいキーワードが、
テレビや新聞雑誌で語られますが、
ガン病棟で悶々とする患者と家族にとっての最大の問題は、
いかに「医師と患者の距離を縮めるか?」
これに尽きるのではないかと僕は思っています。

せっかく苦労してたどり着いた有名病院の主治医が、
ろくに治療内容も説明してくれない、
悩みを打ち明けても相談に乗ってくれないとすれば、
これほど悔しくて、情けないことはありません。
もちろん、ノルマに追われる医師に中にも、
時間を作っては患者とのコミュニケーションを
大切に心がけている人もいますから、
医師と患者の距離を縮めて、
お互いの共同作業の形で
治療が受けられた患者は幸せです。
まさに情の通じ合う「命の治療」を受けられるからです。

医師と患者の距離を縮めるためには、
医師が患者を見下すような姿勢を改めることが大切ですが、
このコラムでも何度も紹介した患者さんたちのように、
自らが情報を集めて勉強する、
医師に質問できる能力をつける、
さらに、労を厭わずに、
第2の医師、第3の治療師を訪ねて、
自分に相性の良い先生かどうか
確かめる作業も忘れてはなりません。

さて、医師と患者の距離を縮める方法はたくさんありますが、
医師と患者が協力して、本当に患者に役立つ本が、
もっとたくさん出版されるべきだと、
僕と土屋繁裕医師の共著
「医者と患者でつくった ガン治療入門」
といった本の裏話を紹介してきました。
また、前立腺ガンの最新治療を受けた藤野邦夫さんと
主治医の青木学教授の共著
「前立腺がん これで全快!」という
翻訳本のエピソードも紹介してきました

そうした最中、
こんどは、ジャーナリズムの先輩で、
日本医学ジャーナリスト協会名誉会長の宮田親平さんから、
「あなたのためのがん用語事典」
(日本医学ジャーナリスト協会編著・文春新書)という
新刊が送られてきたのです。
この本の編著者は宮田親平さんをはじめとした、
医学ジャーナリストの面々でありますが、
監修者には、垣添忠生・国立がんセンター総長をはじめ、
ガン治療最前線の医師たちが名前を並べています。

まさに、医師と患者の距離を埋める作業を目指した本、
最新データ重視の痒いところに手が届く
「がん用語事典」なのです。
「医者と患者で作った、ガン治療本」が
やっと出版されるような
「ガン情報戦」時代となりましたから、
大いにこうした本を活用して、
自分に納得のいく治療を見つけ出して、
しっかりと「命を拾い」ましょう。


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