元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第739回
治療の溝を埋める「がん用語事典」

日本医学ジャーナリスト協会名誉会長の
宮田親平さんから送られてきた
「あなたのためのがん用語事典」
(日本医学ジャーナリスト協会編著・文春新書)の話の続きです。
宮田さんは、元週刊文春の編集長で、
僕が週刊ポストの編集長になる、
もう少し前に活躍された方です。
最近、週刊誌もテレビや新聞の後追い記事が多くなり、
この不況では、そろばん勘定に汲々とする
出版社の経営幹部ばかりですから、
週刊誌自体も軟弱なジャーナリズムとなり、
元気を失って、読者も激減しております。

宮田さんや僕たちの時代は、
新聞も度肝を抜くような豪快なスクープを
週刊誌が担ってきた時代でしたから、
80万部、100万部と売りまくり、
反骨、反権力で大向こうをうならせたものでした。

というわけでしょうね。
この本の編集意図も
新しい時代を切り開こうという
企画意欲、ジャーナリスト魂に満ちております。
「本書が患者さんと医師が同じ土俵、共通の言葉で
 「がん」を語り合うために活用されることを願っています」
「医療側がコミュニケーションスキルを
 磨くこととともに、
 患者側が相応の知識を持って
 情報を受け入れる準備が必要と考えられます」
と、まえがきに書かれているとおり、
初めての患者にはとても難解で理解できない、
医師が使う専門ガン用語から、
449語を厳選して、
分かりやすく解説したものです。

たとえば、
「あなたのガンは浸潤している」
「あなたのガンは転移している」
医師からこう説明されて、
初めてのガン患者や家族のみなさんが
すぐに「浸潤」「転移」という言葉を理解して、
適切な治療法の選択に入れるでしょうか?
とても無理ですね。
しかし、なんとしても「命を拾う」と決意したら、
こうした「治療の溝」を埋める努力をあきらめてはなりません。
また、医師にお任せ主義はもっといけません。
患者の側から積極的に、
ガン用語の言葉の壁を乗り越えて
いかなければならないわけです。


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