元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第751回
チベット医学はただの宗教療法ではない

ヒマラヤの秘境・ムスタン王国の国王の侍医であり、
チベット医学の再興を図る、
アムチ・ギャッツオさんの講演集の続きです。

さて、いまも残るチベット医学の医師たちは、
どういう考え方で、
ホリスティックな治療を
試みようとしているのでしょうか?
やはり、医学もチベット密教と一体となって
施されているのです。
ギャッツオさんは、
参加者からの質問に以下のように
こたえていました。

Q:チベット密教の本質は?
A:慈悲の心、利他の心です。
  自分が他人に与えた害は、
  必ず自分に帰ってくるという因果応報です。
  この考え方がなくなると、
  社会が悪化し苦しみが増える。
  また、心の外側の財産が増えると心配も増えますが、
  外部の問題は科学で、
  心の問題は宗教で解決していくべきだと思っています。

Q:では、こうしたチベット医学に対する
  欧米からの最近の評価はどうのなのでしょうか?

A:近年、骨の奇病、高血圧、糖尿病に効果を挙げている
  チベット医学について、
  西洋医学の医師、科学者が調査、研究をし、
  その効果が実証されております。
  チベット医学では製薬のときに、
  薬師如来への祈りの儀式をすることで
  薬効を高めるのですが、
  昨年のワシントン・チベット医学学会で
  ラサのアムチが発表したところによれば、
  加持祈祷を与えた薬と、
  しない薬の薬効を科学的に検証したところ、
  儀式を経た薬の方が薬効の高いことが立証され、
  この結果について関心が高まっています。

欧米で注目の代替療法には、
サイモントン療法といった
心のイメージでガンを治す方法があり、
ホメオパシー療法といって、
いわば「毒をもって毒を制する」療法が
不思議と効果を上げることが実証されています。
最近は、また、脳―自律神経―免疫の精神作用も
しきりと見直されております。
難病治療に、心の作用は
とても大切なわけですが、
チベット医学にしても、
ただ、いかがわしい宗教療法だと
無視できない側面がある――
僕も、そう考えているわけです。


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