|  
         第873回 
          乳ガン、子宮ガンの後遺症対策は? 
        「ガンは切れば治る」というのが 
          大学病院におけるガン治療の大勢ですが、 
          たとえ、患部を取ったとしても、 
          無謀な拡大手術のために「命もとられたり」 
          「苦悶の後遺症に悩まされる」のでは 
          元も子もありません。 
        ガン手術の後遺症といえばいろいろあります。 
          女性生殖器の手術後の排便・排尿障害、 
          前立腺ガン手術によるインポテンツ・・・、 
          さらに僕がかかった食道ガンの手術は、 
          胃袋の神経を抜いて喉まで持ち上げて 
          代用食道にするという難しい手術ですから、 
          大抵の同輩患者たちが、 
          数年にわたって食事の不都合という 
          後遺症に悩まされていました。 
          一度に食べられる量が 
          術前の半分程度になるだけでなく、 
          たとえば、以下のようなことが起こります。 
        1.一回の食事の量が多すぎると、 
            吊り上げられた胃が膨らみ肺や心臓を圧迫する 
          2.食後、吐き気、下痢、圧迫感などの腹部の不快症状= 
            ダンピング症状が出る 
          3.食後すぐ横になると 
            胃の内容物が口の中へ逆流する  
        そして、とくに女性患者の悩みは 
          リンパ浮腫(むくみ)という 
          子宮ガンや乳ガンなどの術後の後遺症です。 
          リンパ浮腫は乳ガンや子宮ガンの 
          術後の約5%に発症すると言われており、 
          症状が進むと腕や足が通常時の数倍にも太くなり、 
          日常生活に困難をきたすだけでなく、 
          痛みを訴える患者さんもいます。 
          「切るだけ切ってあとは知らん」という 
          外科医が多いので、 
          乳ガン、子宮ガンの治療にあたっては 
          リンパ節切除を最小限にするという 
          医師を捜すことが大切ですが、 
          もしリンパ浮腫にかかってしまったらどうすればよいのか? 
        リンパ学会でもやっと、 
          この後遺症への対症法が 
          論議されるようになりましたが、 
          近刊拙著「帯津良一のがんに打ち克つ 
          いのちの手帖」 
          (二見書房)では、 
          リンパ浮腫をはじめとした 
          ガン手術後遺症の対策についても詳しく書きましたので、 
          もし困っている人が回りにいたら、 
          教えてあげてください。 
       |