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         第907回 
          チャンスは「当たり前」の話から 
        凋落を続ける総合週刊誌は、 
          週刊誌本来のビジネスの役割を忘れていないか? 
          僕のスクープ論を掲載した 
          月刊「編集会議」3月号の話の続きです。 
                  * 
        当たり前の話ですが、 
          週刊誌のメディア特性は 
          年50回発行されることにあります。 
          この日刊の新聞や月刊誌との違いを、 
          いま一度考えれば、 
          週刊誌らしいベンチャーチャンスが 
          開けてくるものでしょう。 
          つまり、週刊誌のスクープとは、 
          単発のゴシップを並べ立てていくことと 
          誤解してはならないわけです。(略) 
        だからこそ、 
          ひとつのテーマで、 
          50回は連載できるスクープを 
          編集長は周到に構築する。 
          これなくして役割はないわけです。 
          最低、50回連弾できて始めて、 
          週刊誌独特の「独占スクープ」となり、 
          紙価を高めることとなります。 
        いまの週刊誌で言えば 
          インターネットや 
          携帯電話メディア全盛の時代だからこそ、 
          周辺のネタをいくつも集めて熟成させておく。 
          そしてある程度たまった段階で、 
          続けさまに出す。 
          読者はそういう展開を求めているはずです。 
        読者にとっては、 
          スクープを連載で楽しめるとすれば、 
          これほど興味深いミステリーはないでしょう。 
          これぞ、ピンチはチャンスの 
          「ベンチャースクープ」だと 
          僕は思います。 
                  * 
        こと、週刊誌の作り方に限らないでしょう。 
          自らの商品が売れない原因を、 
          「インターネットや携帯電話」のせいにするのではなく、 
          自分の業種の特性に立ち返って、 
          「当たり前」の仕事を見直す――、 
          これがベンチャーチャンスの突破口を見出す、 
          商売の原則でしょう。 
          「あきない、あきらめない」ことが、 
          商いの商いたる所以でありますから、 
          作り手のベンチャーの楽しみが伝わってくるような 
          メディア商品を作ってほしいと願って、 
          あえて、昔話を持ち出して 
          月刊「編集会議」の誌上で 
          苦言を呈し、期待を述べたことになります。 
          ま、「頑張れ、若き週刊誌編集長」というわけです。 
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