元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第919回
「切ったら、はい、終わり」?

上手に「ガンと共生する」には、
「からだ、こころ、いのち」の人間を丸ごと診る
トータルケア=統合医療の考え方が大切だ
という話の続きです

先日、ラジオの医療番組を聴いていたら、
大病院のトップで、有名なガン治療の権威が、
手術、抗ガン剤、放射線の最新ガン療法を解説し、
インフォームドコンセントや
セカンドオピニオンの効用を説いたあと、
最後にとってつけたように
「これからは心のケアも大切です」と語っていました。
ガンを治すには、
臓器を切ったり、焼いたり、叩いたりしただけでは
駄目だということを、少しは、
認めるような発言をするようになったことは
とてもいいことだと思いました。

しかし、どうでしょうか?
こうした発言はあくまで建前で、
ガン病棟での具体的な対応については
少しも触れられませんし、
現実にガン病棟で、主治医が患者の食事のケアや、
こころの相談まで
時間をかけてみてくれることはありません。

極端な言い回しですが、
いまのガン病棟の大半では、
「切ったら、はい、終わり」
「悪くなったら、もっと強い抗ガン剤をどうぞ」
「この治療が出来ない人は、余命あと半年です」
ちょっと考えたら、
ぞっーとするような医療マニュアルシステムが
まかり通っているといってよいでしょう。

現実の大病院では、
「からだ、こころ、いのち」の
トータルケア治療などできないのです。
いまの保険医療制度では、
食事療法、心理療法やカウンセリングなどは
治療費の点数が低く、
こうした「心身ケア」を現場の医師たちが、
親身に出来ない病院経営システムになっているのです。

ガンの権威といわれる医師たちの大半が、
建前といいますか、
総論では「トータルケア」を認めはじめていますが、
本音といいますか、
治療現場では「切る、叩く、焼く」の
からだ=臓器治療が優先してしまうのです。
「ガンそのものと闘う」だけでなく、
さらに「ガン治療の副作用や後遺症」とも
闘わねばならないとすれば、
患者にとって、これほど苦痛の治療はないでしょう。

いま、ガンに罹っていない人も、
ここをよく考えてください。

こうした臓器切断至上主義の教育を経て
多くの外科医が育ってきているわけですから、
一人一人を責めるわけにもいきませんが、
いま日本には300万人のガン患者及び
ガン体験者がいるわけで、
この治療システムのままでは
たまったものではありません。
そろそろ患者本位のガン治療の考え方を
見直すべきときが来ているのです。

ですから、僕たちは、
医師や病院を責めるわけではなく、
まず、患者のみなさんに
「ガンと共生」して納得のいく治療を掴むために、
「ガン統合治療のすすめ」について、
声を大にして説いているわけです。


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2005年3月3日(木)

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