元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第964回
これからのガンはHBM治療の時代だ

土屋繁裕医師が新たに書き下ろした
「より良い治療を受けるための肺ガン ハンドブック」
(学研)の話の続きです。

この本のタイトルは「肺ガン」ですが、
本の半分には、土屋医師の提唱する
「HBM治療」(人間本位治療)に基づく“新しい治療法”、
そして、これからの“ガン患者の心得”が
たっぷり書かれていますから、
あらゆるガン患者と家族が、
家庭に一冊、常備しておいたらよいと思います。
土屋医師が考え、実践している
新しいガン治療法の核心部分を
本書より抜粋紹介しますので、
参考にしてください。

          *

【EBM(科学的根拠に基づく医療)とは】
最近、EBM(Evidence Based Medicine)
という言葉を聞いた方も多いと思います。
EBMとは、科学的根拠に基づいた医療と訳されていますが、
医療が本当に長生きに貢献しているのかどうか、
それを統計学的に検証し、
その結果に基づいて医療を行うべき、という考え方です。

実は、われわれが現在行っている医療行為が、
本当に患者さんのためになっているのかどうか、
よくわかっていないことが多い、
と言うとみなさん驚いてしまうかもしれませんが、
これはまんざら嘘ではないのです。
たとえば高脂血症で投薬を受けている患者さんと、
受けていない患者さんのどちらが長生きできるか、
というくじ引き臨床試験を行ってみると、
どちらもほとんど差がない、
というような結果が出ることがあるのです。
ガン治療についてもまったく同じことがいえます。
治療を受ける方と受けない方、
リンパ節郭清を受ける方と受けない方、
はたしてどちらが長生きできるのか(略)
従って、本当にどちらが患者さんのためなのか、
まだわかっていないのです。(略)

【EBMだけでは救えない】
EBMがないからといって、
今の医療がすべてインチキというわけではありません。
人間には知恵もがあるし、経験も活かせます。
個人的な経験に基づいた医療は、
医術として、代々人から人へと伝承されてきました。
こうした医療は科学的ではないかもしれませんが、
嘘ではなく事実です。
EBM、統計学の世界では、
数%以下のことは、
無駄なこととして切り捨てられていきます。
どんなに治療をしても97%は助からない、
となると、治療法はない、と換言されてしまいます。
しかし、3%の人は助かる可能性はあるのです。
この場合、可能性に賭けるべきかどうか、
それはだれが決めるべきなのでしょうか。
医者なのか、患者さん自身なのか。(略)

【HBM(人間本位医療)もある】
そう考えると、今の医療のシステムそのものが、
もはや今の患者さんの多様なニーズには対応できない、
耐用年数が過ぎた、
つぎはぎだらけの制度なのかもしれません。
とは言いながらも、
EBMという篩にかけられて見放された、
ガン難民は毎日誕生しています。
EBMは情のない冷たい医療の根源になりうる
非情のライセンスを持っています。
EBMだけでは救われない患者さんはたくさんいます。

このようにガン難民となった患者さんにとっての救いの医療は、
EBMではなく、HBM(Human Based Medicine )、
人間本位医療です。


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2005年4月17日(日)

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