元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第1043回
ガンというミステリー

日本医学ジャーナリスト協会名誉会長の
宮田親平さんの新著
「ガンというミステリー」
という本の話の続きです

この1世紀にわたる、
内外のガン治療の「開発研究史」を
じつに分かりやすく解説した集大成です。

麻酔なしの外科手術、
毒ガスから生まれた抗ガン剤の草創期から、
最近の遺伝子解明と分子標的治療薬の
長足の進歩を遂げた現代まで、
まさに“秒進分歩”のスピードでなされてきた
100年間のガン研究開発のありさまが
ミステリー小説を読むように分かります。

もちろん、この1世紀に渡る
ガンの研究開発には失敗もあり、
試行錯誤の中で研究者たちが
奮闘してきたことはいうまでもありません。

いまでこそ、ハルステッド手術といわれる
根治乳房切除法は、
無謀な拡大手術として批判されていますが、
なぜ、一世を風靡したのか? といったこと――、
また、僕の食道ガン症状にもかかわりのある、
金属化合物による抗ガン剤=シスプラチンが、
副作用の反面、なぜ効果が強いのか? 
ということ――、

さらに、いま承認されている、
3つのガンの分子標的新薬=
トラスツズマブ(商品名ハーセプチン)、
イマチニブ(グリベック)、
ゲフィチニブ(イレッサ)が
なぜ、ガンの進行をとめるだけでなく、
退縮が見られるか? 
という原理などなど――
じつに興味深く読ませてくれます。

専門家だけでなく、患者も家族も
自らの症状に照らし合わせてみると、
自分の選んだ薬の選択、
これから選ぼうとする治療選択の成否も
納得しながら分かってくると思います。

この本の帯には
「その謎ときの道すじは
 さながら推理小説を読むがごとし」と
書かれていますが、
ぜひ、興味ある方は読んでみてください。


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2005年7月5日(火)

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