元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第1116回
秋の夜長を楽しむ本

ドスン!と、
わが家に送られてきた話の続きです。

送られてきたのは、
「手の五〇〇万年史―手と脳と言語はいかに結びついたか」
(フランク・ウィルソン著、 藤野 邦夫・古賀 祥子訳 新評論)
という400ページを超える大著で、
翻訳したのは、先輩の藤野邦夫さんです。

藤野さんは60歳で、
出版社を定年退職してから、70歳を迎える、
10年の間に、50冊に上る海外書を翻訳してきた、
この世界では、エネルギッシュな達人です。

まえにもこのコラムで紹介しましたが、
2004年には、前立腺ガンに襲われ、
持ち前の情報収集力を駆使して、
最新療法のブラキセラピー(放射線の小線源療法)によって
みごとに回復。

退院後、半年で、
「前立腺がん、これで全快!―
 手術不要の最新療法ブラキセラピー」

「前立腺ガンこれだけ知れば恐くない」と、
立て続けに2冊、翻訳出版。
自らのガン治療生還記を加えて、
前立腺ガン治療法の最前線を
翻訳して世の患者に問うた、
じつに前向きな患者でもありました。
よく見かける、
ガン闘病でジクジクと悩んでいるという
イメージとは程遠い、
じつに「明るい、70歳の患者」なのです。

とにかく、
「月刊フジノ」とでも呼びたくなるスピードで
話題の海外書を翻訳しております。
「ガンに打ち勝つ患者学―
 末期ガンから生還した1万5000人の経験に学ぶ」

「48時間浄化法(リフレッシュメント)」
「右脳・左脳開発ドリル」といった
健康実用書はもちろん、
「死と老化の生物学」
「精神発生と科学史―知の形成と科学史の比較研究」といった
さぞ原書を読むだけでも大変だろうと思う、
専門医学書まで、硬軟取り混ぜて、
読み応えのある本を次々と探してきては、
翻訳しているのです。

こう紹介してくると、藤野さんとは、
頑固爺の学者のように見えますが、
顔相からいわせてもらえば、
映画の「寅さん」にも似た、
じつに自由闊達な人なのでね。
「オードリー・ヘップバーン妖精の秘密」
「カジノゲームバイブル」といった本も、
バリバリと翻訳しております。

いやー、「メディアはバカの鏡」と、
この数回、嘆いて書いてきましたが、
藤野さんから送られてくる本を読んでいると、
「砂漠の中に真砂を見つける」
「秋の夜長を楽しめそうな予感」がするのです。


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2005年9月16日(金)

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