元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第1126回
香港風水事情(3)

さて、香港のトップ企業同士が
「殺気除災」のために張り合って、
風水の陰陽原理に則ったビルを、
知恵を凝らして設計、建設するのは
有名な話です。

とくに、中国銀行のビルと
香港上海銀行のビルの「風水戦争」は有名です。
イギリス資本の香港上海銀行と
中国資本の中国銀行があらゆる風水の技を使って、
自分のビルに福を呼び込んでいるのです。
発端は、香港上海銀行が
鉄骨をむき出しにした要塞のような超高層ビルを
建てたことにありました。
それも中国銀行旧館の隣りに
香港の風水師の知恵を借りて建造したのですから、
香港経済界の話題となりました。

香港上海銀行は外観が蟹のような姿を連想させるので、
通称・蟹ビルと呼ばれ、
その相手を威圧する風水仕掛けとして、
大砲を模したクレーンを屋上に設けて
中国銀行に狙いを定めたわけです。

向かって右・香港上海銀行の屋上のクレーンが
大砲のように、左・中国銀行を狙っている

入口は港側と山側の2ヶ所あり、
正門の山側の入り口は、
ビクトリアピーク=太平山から流れてくる
龍脈の気の流れをしっかりと受け止め、
また、港側の入口には、
日本橋・三越のライオンの3倍ほどのライオン像が
2頭、鎮座して中国銀行を威嚇する設計なのです。

ロビーの上り下りの2基のエスカレーターが、
一点に交わる形になっている設計は、
龍脈の気の流れを、
人の流れと共に階上へ
押し上げるためだといわれています。

まさに「蔵風聚水」(風を蓄えて水を集める)
という風水の原理に則り、
人を集めて商売(銀行業)を繁盛させるという、
周到な仕掛けが施されているのには驚きます。
やがて、香港返還の直前、
中国銀行は香港上海銀行に向けて、
全てガラス張り、70階という
香港一の高さのビルを建てて話題を撒きました。
刃物のような尖角ビルを向けたのは
「商売仇に凶運を与える」
「剣で香港上海銀行を斬る」という、
風水の発想から編み出されたものでした。

刃物のようにそそり立つユニークなビルは、
風水学上、周囲に
悪影響を及ぼす凶相と言われますが、
思わぬ災難?が、
この中国銀行の北側に位置する
英国総督府に飛び火したのです。
なんと、着任早々のバッテン総督が
心臓手術をする破目になったのですから、
一気に香港風水戦争の話題は
世界中に広がったわけです。

今では、間に、ナンバーワン企業・
長江実業のチョンコン・センターなど、
いくつか別のビルが立ち、
香港返還前の騒動はだいぶ落ち着いたようですが、
ことほどかように、
香港の大富豪たちの風水環境学への取り組みは
真剣そのものといってよいでしょう。


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2005年9月26日(月)

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