元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第1198回
介護制度は「3つの老い」に対応しているか?

11月23日(水・祝日)に開かれた、
「介護をもっと、ホリスティックに」講演会の
僕の話の続きです

          *

老母を介護していたころは、
まだ介護制度システムも整っておらず、
福祉事務所に飛び込んでも
「あんたねえ、それはまだらボケっていうのよ。
 見張りの介護なんて出来ないのよ」
と冷たく笑われまして、
大の大人が途方にくれたものでした。
なにせ、病院に入院させても、
3ヶ月で追い出され、
たらいまわしにされるわけです。

もちろん、いま介護保険制度が完備して、
40歳から保険料を取って、
65歳から保険証を配るシステムは出来たわけですが、
大抵の家族が、家族の誰かが
「ボケはじめてから大慌てする」ことは同じです。

むしろ、これからは、
保険料を払い始める40歳から、
介護予備学、いや介護予防学に参加できるような、
ホリスティックな社会、
介護予防システムを作るべきだ・・・、
僕は最近、つくづく、そう感じています。

なぜならば、僕の65歳までの
「母はボケ、俺はガン」の体験からの感想ですが、
それは、30代、40代のときには想像も付かなかった、
壮絶な闘いだったからです。

しかし、この人生の難関を通過して、
つまり、自らが悪性のガンになり、
介護5の徘徊垂れ流し老母のボケを介護してですね。
やっと一人前といいますか、
僕も「頭が少しよくなった」ような気がします。
それまでの人生は、
威勢はよいものの、頭でっかちの人生でした。
ですから、むしろもっと早い時期、50歳前から、
予備知識といいますか、予防の知恵があったらなあ・・・
と反省しています。

なぜ、こんなことをくどくどと、
話してしまったかといいますと、
現実には、ほとんどの人が、50歳を過ぎて、
「3つの老い」を体験する運命にあっているからです。
その50代歳以上は5000万人、
65歳以上は2000万人を超えている、
まさに「介護社会」ですからね。

では、50歳からの「3つの老い」とは何でしょうか?  
それは、両親の老い、夫の老い、自分の老い・・・
50歳を過ぎると、
女は「3つの老い」を体験するという言葉は、
高原須美子さんという女性評論家から聞いた話です。
作家の渡辺淳一さんはエッセイ中で、
65歳からを前期老齢者、
75歳からを後期老齢者といっていますが、
僕の体験から「3つの老い」が起こる、
老化年齢の分類をして見ますと、
以下のような順番で起こると思います。

・55歳〜64歳=両親の老い
・65歳〜74歳=夫婦の老い
・75歳〜84歳=自分の老い

ですから、老齢介護という狭い発想ではなく、
「老化予防」という広いといいますか、
直面しているライフスタイルのつながり全体を見る、
「ホリスティックな介護学」の考え方が必要だと思うのです。


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2005年12月7日(水)

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