元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第1239回
テレビのガン番組を問う!

1月7日、8日の連夜に渡って、
NHKの特番
「日本のがん医療を問う」が放映されました。
とにかく、まわりを見回しても、
ガンに罹った人、残念にも亡くなった人が、
日に日にふえていますから、
HiQの読者のみなさんも関心を持って、
ご覧になった方が多いと思います。

テーマは「病院の格差を問う」
「がんの苦痛はとりのぞける」というもので、
日本における「ガン治療の遅れ」と、
「病院の制度化の遅れ」を指弾し、
その解決策を患者サイドから、
全国の病院、医師、そして、
管轄官庁である厚生労働省、
そして傘下の国立がんセンターに要望する――、
という内容ですから、
「ああ、日本のガン治療行政とは
 ほんとうにいい加減なものだったのだなあ」と嘆息し、
一方で
「やっと患者や家族から、
 その遅れを指弾する声がでてきたのだなあ」と
期待して見た人は多いと思います。

この番組で指弾されたガン治療の問題点を
アトランダムに上げると以下のようなものでした。

・地方では最新治療が受けられない
・ガン拠点病院のない県が秋田など7県もある
・欧米の最新抗がん剤を認証せよ
・臨床試験の枠組みも実際には使えない
・腫瘍内科医が少ない
・臓器別専門医が少ない
・医療格差がガン難民を作っている
・もっと国立がんセンターの最新医術を地方にも広めろ
・国立がんセンターによる地方医師の研修をもっと頻繁に
・病院の人事刷新を急げ
・全国病院の情報公開せよ
・情報は多くなったが選別が難しい

たとえば、すい臓ガン患者さんからは、
最新の抗ガン剤として、
アメリカでタルセバという薬が認定されたのに、
日本ではなぜ駄目なのか?
やっと、日本でも臨床試験なら、
こうした抗ガン剤も受けられるようになったが、
保険が利かないために費用がものすごくかかる――、
また、世界の標準薬が使えないことに愕然とした、
肝臓ガンの患者さんが中心となって、
患者本位の情報公開を求める
「日本がん情報センター機構」の設立を
厚生労働省に要望――、
このエピソードも紹介されました。

これが契機となって、
「がん患者大集会」が2005年5月大阪で開催され、
たったの「10億円」ですが、腰の重い、厚生労働省も
「国立がんセンター内に運営評議会作る。
 がん対策本部を作る」ことになったというわけです。
しかし、具体的対応について答える、
厚生労働省と国立がんセンター総長のコメントが
「検討します」「努力します」といった曖昧とした発言で、
きっとイライラした視聴者は多かったと思います。
番組では「ひとつの大きな成果」と評価していましたが、
患者である僕からみれば、とんでもない!
「絵空事」の話のように思えてなりませんでした。
あなたはどう感じたでしょうか?

「30年先じゃ、命が持たないな」といった
ある患者さんの一言が、とても印象的でした。


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2006年1月17日(火)

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