元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第1331回
スローヘルスと【アンチエージング】

スローヘルス患者学入門の続きです。
「スローヘルス」は、いま若者のライフスタイルである
ロハスや スローライフ、スローフードとどう違うのか、
少し、まとめて解説しておきましょう。

ロハスなライフスタイルには、
モノの本によると、5つの分野があるそうです。

(1)健康的なライフスタイル(Healthy Lifestyle)
(2)自己啓発(Personal Development
(3)代替医療(Alternative Healthcare)

なるほど、スローヘルスの提唱する
「からだ」「こころ」「いのち」を見る
考え方に近いものがあります。
有機野菜や化学添加物の少ない食品を選び、
ヨガや呼吸法、アロマテラピー、温泉浴などで自分を磨き、
薬に頼らずにからだに優しい運動や
マクロビオティックなどの食事法を心がけることは、
たしかに、スローヘルスでも提唱している分野です。
しかし、スローヘルス実践法の3分野である
(1) 養生法
(2) 処世法
(3) 死生観・・・のうち
(1)と(2)の分野は共通しますが、
「死を突き抜けても、いのちのエネルギーはある」と
踏み込む(3)の発想法は含まれていません。
ホリスティック医学に基づく【スローヘルス】患者学とは、
ただ健康に生きる、自然に生きるというだけでなく、
死をも超えた、大いなる“いのちの希望=可能性”を
見つけ出す発想法なのです。

まえにも解説しましたように
スローヘルスの理論的支柱である帯津良一博士が、
「これからの医療は、
 ただエビデンス(証明性)だけを基準にするのではなく、
 それぞれの心身に宿る“生命の躍動”を重視する、
 哲学者アンリ・ベルグソンの思想に着目する時代です。
 養生とは死ぬことが分かっても一所懸命にやるものなのです」
「21世紀は、病であるとなかろうと、
 いのちのエネルギーを
 日々勝ち取っていく“攻めの養生の時代”だ」
「ホリスティック医学の真髄は、
 自己の養生を果たしていくと、
 宇宙、外界の大いなるいのちにぶつかり、
 その瞬間、“生命の躍動”が起こって、
 私たちは歓喜に満ち溢れる・・・
 この哲学者アンリ・ベルグソンの考え方に基づいている」
と述べてられる所以がここにあります。

宇宙から細胞まで、大いなる“生命の綱”でつながっている――、
だから、死を乗り越えて、勇気と希望が湧き立ってくる――、
「生命エネルギーの広場」を、患者だけでなく、
家族、そして医療関係者の信頼の絆のなかに作っていく――、
この「いのちのライフスタイル」志向がスローヘルスなのです。

また、ロハスには、

(4)エコロジーなライフスタイル(Ecological Lifestyle)
(5)持続可能な経済構築(Sustainable Economy) ・・・という、

欧米式の環境社会改革の傾向が強いところも特徴です。

もちろん、スローヘルスも、現状の西洋医学一辺倒の医学や
患者無視の医療制度、さらに環境破壊社会の弊害に警鐘をならし、
自然調和、身土不二、心身一如といった発想に基づく、
「生命場ネットワーク」の構築を目指すものですが、
あくまで、患者個人、個人が関わる「大いなるいのち」の
養生法、処世法、死生観に重点を置いて研究し、その実践を深める、
新しい「患者学」と考えて下さい。

ですから、もうひとつ、
いま流行の【アンチエージング】(抗加齢学)、
つまり“スローエージング”にも似ているようですが、
スローヘルスは、死を乗り越える「死生観」にも踏み込む、
養生法であり、患者学ですから、
この長寿難病時代には、よりぴったりの「スロー志向だ」と考えて、
理解していただくとよろしいと思います。


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2006年4月19日(水)

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