元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第1359回
スローヘルスの「理論と実践」(2)

まえに、僕たちが提唱している
スローヘルス患者学とは、
いかに悔いのないいのちを掴むか?、
納得した人生を掴むか?
そのための「創造的延命学」である――、
また、「スローヘルス患者学」がよって立つ、
基本理論は、「からだ」だけでなく、
「こころ」「いのち」といったMIND、SPIRITSも含めた、
人間丸ごとを見る医学=ホリスティック医学の考え方である――、
この話の続きです。

ホリスティックとは、前回も書きましたが、
ギリシャ語の「holos」(全体)を語源とし、
「いのちの全体のバランスを診る医学」といった意味ですが、
この医学の根源はホーリズム(全体論)という思想に基づいています。
「全体論」などというと、政治の専制主義を想像しがちですが、
この「全体主義」と和訳されているものは、
トータリズムであり、ホーリズムは、
「全体のつながりを考える思想」と思ってください。

これは、全体論の反対の用語を考えると分かりやすいと思います。
ちょっと、大雑把なわけ方になりますが、
「全体論(ホーリズム)」の反対語は
「機械論(アトミズム)」と覚えてください。
物事の把握法として、このふたつの思想が相対立してきました。

●機械論=人間も機械も部分の組み合わせで
構成されているものであり、
部分を取り替えても全体を損なわれないという思想。
近代西洋医学の手術、臓器移植や、
リストラなどの組織論もこうした考え方に基づいています。
●全体論=部分をもう一度組み合わせても、
元の全体には戻らない。
全体は部分の組み合わせではなく、
それ自体に意味のある一単位という考え方。
20世紀の半ばころから、東洋からだけでなく、
欧米の科学者、思想家、哲学者からも、
「全体論」の見直しが始まったのです。

スローヘルス患者学がよって立つホリスティック医学とは、
ズバリ、ガンのような難病は
「機械修理のような手術や化学薬治療だけでは治せない」
という考え方です。

人間のいのちの全体を診るホリスティック医学は、
中国医学やチベット医学、またアーユルヴェーダなど
東洋の医学の考え方に近いわけです。
しかし、いま西洋医学の主流は、
アロパシー(逆症療法)と呼ばれる機械論に基づく考え方ですが、
ホメオパシー(同種療法)のように、
ホリスティックな医学は、古来から容認されていたものなのです。

そして、近代医学の世界でも、
ガンのようなミステリアスな難病は
機械修理のような治療では解決できないとして、
ホーリズムに基づく考え方が、
一部の哲学者、思想家から見直されたばかりか、
政治経済学、教育学の分野でも、
物事を「全体のつながりで考える」
思想が台頭してきたわけです。

話は余談となりますが、何回か前に、
このコラムで「ガン新聞報道はこれでいいのか?
という話を書きましたが、
こうした「いのちの医学」の構造的な変遷史を無視して、
「ガンに効くか? 効かないか?」
「エビデンスか? まやかしか?」と、
ただ機械論的に短絡し、
「クイズ番組もどきの記事」を羅列しているところに、
マスメディアの“堕落”があると・・・
僕はいいたかったわけです。


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2006年5月17日(水)

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