元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第1365回
松下幸之助と「40歳からの魂進化論」

「スローヘルス患者学=創造的延命学」がよって立つ、
基本理論は、「からだ」だけでなく、
「こころ」(MIND)「いのち」(SPIRITS)といった、
人間丸ごとを見る医学=ホリスティック医学の考え方である――、
ホリスティックとはギリシャ語の「holos」(全体)を語源とし、
「いのちの全体のバランスを診る医学」といった意味ですが、
この医学の根源はホーリズム(全体論)という思想に基づいている――
人間の(1)身体 (2)精神 (3)魂・・・は、
以下のように、成長発達する。
(1)身体(生物学的発達)(2)精神(心理学的発達)は、
ともに、20歳頃ころまでに成長し、40歳まで平衡状態が続き、
40歳ころから衰えていく・・・。
それに引き換え、
(3)魂(スピリチャルな発達)は40歳ころから進化する――、
という、とくに「40歳を超えた中高年層」に
気になるホリスティック教育発想法の話の続きです。

この「40歳を超えた中高年層」から、
人間の魂や霊魂といわれるスピリチャルなものが
成長進化する――、という「成人の発達段階」を説いたのは、
バーナード・リーヴァフッド(Bernard Lievegoed)という、
オランダの精神科医、教育者です。
半世紀の臨床診療の結果、
人間の神秘性は生物学的発達だけでは解けないとして、
年齢の各ステージに起こる内部特性を観察し、
「Phases―The Spiritual Rhythms in Adult Life」
(段階―成人期のスピリチャルなリズム)
という著書で分析しました。

この成人発達論に従えば、
40歳にして体力ばかりか、記憶も衰え始めるのに、
なにやら全体的な物事が
若いころより見えてくる不思議と符合するように思えませんか?
つまり、「40歳は人生の大きな分岐点」というわけです。

ですから、こうした身体、精神とスピリチャルな変化に
中年になって気がつかないで、
権威や物欲ばかりに固執していると
思わぬ失脚を招いたりするわけです。
また、40歳を過ぎて、50歳前後、
60歳前後に大病を患う人が多い反面、
社会的には、責任ある組織の長になる年代である・・・
ということも納得できると思いませんか?

ま、信じるかどうかは、みなさんの自由ですが、
この長寿時代、情報過多時代、
そしてアメリカ式の合理主義がまかり通る「格差社会」では、
ますます、人間のいのち全体を見た、
健康法だけでなく、処世法を構築すべきだと思います。
その方法のひとつが、僕たちが提唱している
スローヘルス思考なわけです。

先日、スローヘルス研究会にも理解の深い、
元廣済堂出版社長の中博さんと食事をしたときに
この「40歳からの魂進化論」について話したところ
面白い話をしてくれました。
ちなみに、中さんは、僕が現役の週刊誌編集長のころ、
経営の神様といわれた、松下電器相談役の
松下幸之助さんの秘書を勤めていた方ですが、
「松下さんの成功の秘密には、
体が弱かったことがあげられます。
兄二人が結核で死んでおり,自分も二十二歳で結核
の初期症状がでてしまい,死を覚悟しました。
そこで「どうせ死ぬのならば寝ながら死ぬよりも、
養生して、働けるだけ働いて死ぬ方がいい」と考え、
とくに中年以降はこころの面を人一倍磨いた、
まさにスピリチャルな進化を遂げた人。94歳を全うした人です」
というのです。
中高年こそ、スピリチャルなものを磨く――、
松下幸之助さんの話は、
いずれ、季刊「いのちの手帖」に書いてもらおうと思っていますが、
「40歳からの魂進化論」をどう思うでしょうか?


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2006年5月23日(火)

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