元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第1366回
「がん対策基本法」に思う

この未曾有の長寿社会を迎えて、
やっと「ガン治療後進国」の日本でも、
「がん対策基本法案」といったものが、
与野党から用意されたようで、
ときおり、新聞記事を賑わしております。

毎年、32万人の人がガンで亡くなっており、
現実に300万人以上の人が、
再発と転移を心配しながら過ごしているわけですから、
もはや無視できない国家的な大問題なわけです。

ところが、実際にガンの猛威と、薬害や治療法への不信に、
日々、おののいている患者と家族から見ると、
こうした基本法案の内容といえば、
どうも、絵に描いたもちのような総花的な空論が
並んでいるようで面映いものなのです。

ことガン対策に限らず、
物心両面での長寿社会の難題を抱えてしまった、
日本は、どこへ行けばよいのか?
それこそ、基本的な国家理念が
政治の場で戦わされていないために
見せ掛けかというか、
いいこと尽くめ風のマニュアルが各論ごとに溢れ出て、
とにかく欧米借り物の
「基本法」を羅列するマニュアル国家つくりが、
与野党挙げてブームになっているように思えてなりません。

教育基本法、環境基本法、食育基本法から
男女共同参画社会基本法、少子化社会対策基本法、
自殺対策基本法・・・。
ま、個々の問題点はこのコラムでは触れませんが、
こと、ガン対策に関しては、
まったく国家の方向性が見えていないことは気になることです。
別に、政治家が選挙目当てに
ガン対策を利用しているなどと、野暮なことはいいませんが、
いまや、世を挙げて、欧米モノマネ式で、
ガン対策・国家マニュアルに追いつけという
風潮には感心できません。
やれ「ガン患者届け出制」とか
やれ「米国のガン新薬の早期認可性」といった、
おかしな論議ばかりが話題になり、
現実の患者や家族の目線からではなく、
国の医療体制強化の視点が見え隠れしているところが
とても気になります。
それぞれが、微々たる国家予算の裏づけでしかないことも
この基本法の「ものまねマニュアル」風の性格をよく現しています。
食事ひとつにしても、欧米モノマネの食糧政策が、
ガンを蔓延させていることぐらい、どこかの党が、
「がん対策基本法案」に、はっきりと盛り込むべきときでしょう。

これから10年後、20年後、
どうした国になるかは誰も予測がつかないわけですが、
より日本の伝統的風土、日本人の歴史的体質に合った
基本戦略が「ガン対策」という「いのち対策」には必要なわけです。
日本の伝統というと、
すぐ「武士道による国家品位」のような論議が話題となりますが、
いまこそ、より自然風土に共生する品位を
持つべきだと僕は思います。

ともあれ、このコラムではなんども書いていますが、
役人がこしらえたような、欧米モノマネマニュアルでは、
それこそ「最新ガン治療薬の使い方を誤って、
ガンではなく、治療ミスで死を早めてしまう?」
・・・そうした危険性も秘めています。

ガン対策基本法と、
食育基本法、教育基本法、環境基本法、
介護基本法などは、各個別々に
「欧米ものまね式のマニュアル」で作られてはならないのです。
すべて、日本人が、この日本列島で生息していくための
「いのちの基本法」として、
ホリスティックに提案されるべき問題だと、
僕は痛感しているわけです。
あなたは、どう考えるでしょうか?


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2006年5月24日(水)

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