元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第1397回
明日は少し良くなる・・・。

「なぜ、気功や食事や心の持ち方が自然治癒力を高めるか?」
「心のときめきが自然治癒力を上げる」
気功の達人でもある帯津良一医師の
講演の紹介の続きです。

        *

「明るく前向き」といわれる人ほど、
じつは弱いということがわかってきたのです。
病状が悪くなったと告げるだけで、
明るく前向きな人は落ち込むのです。
極端なことを言えば、
「人間は明るく前向きにできていないのだ」と
思うようになりました。

ですから、明るく前向きな人を見ると、
何となく鈍くみえてくる。
鈍いから前向きに生きられるのではないか? 
と思うようになってきました。

では、本来、人間とは、どういう生命体なのかといいますと、
人間とは寂しくて悲しいものだと思うのです。
そういうことがわかってきました。
人間は、若いうちはなかなかわからないのですが、
私くらいの年になると、だんだんとわかってまいります。

たとえば、山田太一さんの「生きるかなしみ」という本を読むと、
生きている、そのこと自体が悲しいのだと言っております。
悲しみなんて、どうということはないのだと、
あっさり書いておられます。
生きる悲しみなんて何も特別なことではない。
生きていること自体が悲しみなのだと言っているのです。

それはどうしてかというと、
水上勉さんが、「我々は孤独な旅人だから寂しいのだ」
と書いておられる通りで、
私は、人間は「虚空から虚空への旅人」
だから悲しいのだと思うようになったのです。
私も悲しくて寂しいのです。

ですから、私は患者さんにもいいます。
みんな寂しくて悲しい。
だから寂しくても、
悲しくても落ち込むことはないのですよといいます。
寂しさと悲しさの大地にしっかり立ていけばいい。
それより下に落ちるはずがない。
こんなにしっかりした大地はありません。
そこからわき上がる「希望とか生きがい」
という大木を作っていけばよいのです。

生きがいや希望は、何も大げさなものでなくても良い。
いろんな希望がありますが、
とにかく堅実に実現できそうな希望を
一つや二つ持っていればよいと思います。

明日は少し良くなる。何かが良くなる。
少し食欲が出る――こうしたことでも良いのです。
一日ごとの希望を育ててゆく。
そして維持してゆく。
そうした希望が叶えられると心がときめくわけです。
それが、これからのガン治療には
大事なポイントだと思います。


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2006年6月24日(土)

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