元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第1484回
なぜ散歩をするとトキメクか?

いま若者に人気の脳科学者・茂木健一郎さんの
代表的エッセイ「脳と創造性」(PHP)の中で、
とくに、僕が共鳴した「散歩とヒラメキ、散歩とトキメキ」――
「脳と創造性」――この話の続きです。

じつは、僕は、毎朝、1時間は、
近所の神社の森を散歩するのですが、
これが無意識のうちに事業や投資、
著作のヒラメキをもたらすのです。
もちろん、ガンの再発不安を乗り越える
希望のトキメキももたらすようなので、
散歩のトキメキ、散歩のヒラメキは、
とても気になっていることでした。
よくストレスがガンの元凶だといいますが、

では、なぜ、散歩が無意識のうちに
トキメキやヒラメキといった「幸運な創造性」を生むのか?
「脳と創造性」の本の中で、茂木さんはこういっています。

「歩くことはしばしば発想を助ける。
見慣れた道を歩いている時、
人間は感覚遮断に近い状態に陥る。
もう何回も歩いている道には、
特に注意を向けるべきものもないからである。
そのような時、無意識が、
意識に対する外部性を提供するものとして登場する。
歩きながら自分の中から浮かび上がってくる様々な想念は、
感覚遮断タンクに入れられた時に見える様々な幻覚の、
抽象思考ヴァージョンと言えないこともない」

つまり、旅に出て、初めての場所を歩くと、
キョロキョロ景色を眺めたりして意識が先立ってしまうので、
ヒラメキは浮かばないが、
見慣れた道を散歩すると、
脳内に「感覚遮断」という現象を招き、
自らが無意識状態になる・・・というのです。

脳とは、単独で活動したり、
創造するのではなく、
他者や環境と出会うことによって創造性を生む、
さらに、自らの中で「無意識」と
出会うことでも創造性を生む――、
という脳科学からの分析です。
まえにも書きましたが、
ホリスティック医学の真髄とする、
ベルクソンの宇宙自然と繋がる「生命の躍動」や、
ユングの無意識下でおこる「共時性」・・・、
それが引き起こす精神エネルギーの発揚といった仮説が、
脳科学のサイドからも、
真摯に研究されているといったらよいでしょう。

どうです? 精神性を重視する「いのち学」って面白いでしょう。
巷間、いわれるような昔のまじないやカルトの類ではなく、
学問的にじっくりと研究されている世界なのです。

「危機(emergency)と創発(emergence)の語源が
同じであるということには、深い意味がある。
この世界に成功を保証されている人間は一人もいない。
一寸先は何が起こるか判らない。
未来はまさに、言葉の真の意味で不確定である。
人間の創造性を、
意識的なコントロールの結果と考えると、道を誤る。
創造性はむしろ、
その大半が無意識のうちに起こる脳内のプロセスなのである」

茂木さん流にいうと、「創造性は破滅の淵から生まれる」
「偶有性の宇宙の中にこそ私たちの生きるべき荒野がある」
となりますが、
もう少し、分かり易くいいますと、
「偶然を必然に変える幸運な能力」がある人こそ、
事業成功にしろ、病気脱出にしろ、
まさに、この不確定世界の「創造的成功者」というわけです。

「トキメキ」「ヒラメキ」による幸運とは、
いま流行の造語「セレンディピティ」にも通じる発想法でしょう。
ちなみに、serendipity とは、
「偶然の幸運を生かす能力」といった意味ですが、
話が面白くなりすぎますので、
これについては、また機会を改めて書きます。(^0^)


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2006年9月19日(火)

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