元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第1534回
食育基本法って何?

ベストセラー書「粗食のすすめ」で、
おなじみの幕内秀夫さんの講演――、
「子どもの肥満、心臓や脳の病気の原因はパン食にあり」
「その最たる元凶が学校給食のパン食だ」
「いまこそ日本人はお米=米食=ご飯を見直そう」という
『じょうぶな子どもをつくる基本食』の講演概要について、
書いてきましたが、幕内さんからの「食の警告」を待つまでもなく、
いまや、新聞のあちこちに「食育」という言葉が
氾濫するようになりました。

食育とは、分かり易くいえば
「健全で豊かな生活を送るために必要な、
“食事の自己管理能力”を養う教育」
という、あたりまえの話なのですが、
消費者一人一人だけでなく、産業界も、行政サイドもこぞって
食の堕落、食の汚染を正そうというわけで、
平成17年6月10日には、食育基本法が成立。
あちらこちらの医学セミナーや健康講演会でも
「食育」の重要性が声高に叫ばれています。

さて、去る10月24日には、新宿・明治安田生命ホールで
自然海塩で有名な「海の精」株式会社※1
30周年記念講演会が開かれました。
そのメインテーマも「これからの食育のあり方」を問うものでした。
講演者は服部幸應さん(服部栄養専門学校理事長)と
石原結實さん(イシハラクリニック院長)という、
テレビでも人気のおふたりの医学博士でしたから、
ちょっと深刻な内容を、分かりやすいキーワードで伝える
その絶妙な話術が印象的でした。

服部幸應さんは、内閣府の食育推進会議の構成メンバーの
ひとりですので、食育基本法の3つの柱について
以下のように説明していました。
「日本人の食生活が、高たんぱく、高脂質化して、
いわゆるメタボリック症候群の人も増えている。
また、世界では飢餓で亡くなる人が数多いというのに、
年間、一人当たり171キロの残飯を出している。
さらに、若者の弧食、固食、小食、個食・・・
という現象が顕著になり、
“もったいない”意識も無くなっているのが現状です」

というわけで、
「(1)選食能力を育てる
(健康を維持するにはどんなものを食べ、なにが危険か)

(2)しつけを見直す
(核家族の影響で「いただきます」
「ごちそうさま」もいえなくなった)

 (3)食をグローバルな観点から考える
(日本の食料自給率は40%)」を3つを柱とした、
「食育基本法」が出来たようですが、
話の結論は、講演会の趣旨である、
ミネラル類を多く含む自然海塩を例に挙げながら、
いかに自然のものを取り入れたバランスのよい食事を摂るか?
ここがポイントだという話でした。

服部さんが、自然海塩と関連する話の中で、
最後にしめくくった話は、とても示唆に富むものです。

「地球上の水のうち、97%が海水で出来ている――、
そして、30億年の生命の歴史の中で、
人間とは海から陸に這い上がって進化した生命体である――、
こうしたことを忘れてはいけません」
食育基本法自体の評価については、
小生なりに意見がありますので、それは稿を改めて書きますが、
ただ他人事のように、食の欧米化を嘆き、
核家族化を嘆くだけでなく、
こうした食生活改善運動を契機に、
いま、日本人の一人一人が、人間の「いのち全体」の根源を、
考え直すことが、とても大切だと思いました。


※1 http://www.uminosei.com


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2006年11月8日(水)

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