元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第1540回
読書の秋!「いのちの本」10選 (1)

どうも、最近の新刊本を見ても相変わらず、
十年一昔といいますか、
安手なタイトルのマニュアル本が氾濫して、
いささかうんざりしますね。
「難問解決の成功の法則」
「魔法のお金儲けの本! 」
「超カンタンの人生上手」・・・、
こうした類のタイトルの本は、著者が手ずから書くのではなく、
大学教授や医師や有名人が喋ったことを
専門のライターが、リライトしているものが大半ですから、
読みやすいことはたしかです。

ま、人生やビジネスの「新入生」なら、
この程度のレベルの本で満足するのかも知れませんが、
読んだらますます、先行きが不安になっていくと思いませんか?

いま書籍市場は1兆円、雑誌とあわせても2.5兆円と、
僕が現役のころに比べると、半減、いや
1/3にやせ細ってしまいました。
これは若者の活字離れを嘆くより、本を作る側の編集姿勢、
いや「人生観」を問いたくなるような現象ですから、
本や雑誌の売れ行きが激減するのもやむを得ません。

メディアはさかんに教育の荒廃が嘆かわしいと、
声高に叫んでいますが、むしろ、メディアサイドの
「知的生産物の荒廃」もひどいことになってきたものです。
この複雑怪奇な時代を読み解くパワーが全くありません。

読書の秋といっても、書店はどんどんつぶれて、
残った書店には、はっきりいって、
冒頭に上げたような「人生・バナナの叩き売り」式の本しかなく、
じっくり本を探して読みたい人は、
インターネット通販で検索するか、
新古本屋に足を運んで探す以外にない――、
こんな知的レベルが衰退した時代になってきているようです。

とくに、この長寿災難時代に突入して、
老眼中年が増えたせいもあるのかもしれませんが、
なんとしても、読みたい本が少なくなっているわけです。
このコラムでも、何度も書いていますが、
たとえ、ガンの本などは、有名大学教授が喋ったことを、
これまた人生経験の浅いライターが、病院や薬業者におもねって
まとめあげたものが氾濫していますから、
患者と家族は、ますます、おかしな情報を知らされることになり、
「ガン難民」となって、
治療でいのちを縮めているのが現実なのです。

元マスメディアの一員の僕からみても、
おそらく、本気になってガン専門医師が、
自らのペン、もしくはパソコンを使って書いたならば、
患者を“小ばか”にしたような治療マニュアル本が
これほどまでに氾濫するはずはないと思うからです。
「手術でガンは完治する」
「抗ガン剤は魔法の秘薬だ」
「病院のいうことをよく聞くことがQOL(いのちの質)医療だ」
「これで手が終えない患者は緩和病棟で最後を迎えなさい」・・・、
こうした
“傲慢不遜=患者無視”のマニュアル本は作れないはずでしょう。
だいたい、インターネットを開けば、
ホームページだ、メールだ、ブログだ・・・と、
いまや自分でものを書く人たちが当たり前。
“一億総作家”とでもいったらよい時代だというのに、
本家本元の本の大半が、
旧態依然とした「語り書き」の手法に安穏としている・・・、
これでは読者から見放されるのは間違いありません。
書籍の売上が激減する所以でしょう。

といいうわけで、僕たちは、採算を度外視しても、
患者の生の声をメッセージする手記、
エッセイを主体とした季刊誌=
「いのちの手帖」を、ささやかながら発刊しているわけです。
さらに、いま、発売中の第2号には、
秋の夜長にじっくり読むと楽しい、
いのちの本・10選を「本の愉しみ」
というコーナーで収載しましたので、
ぜひ、読んでみてください。
その内容は、また明日、抜粋紹介しましょう。


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2006年11月14日(火)

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