元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第1596回
最近のガン患者は進歩してきた

2006年12月16日(土)午後4時から、
東京・日本青年館・中ホールで開かれた
「市民が知りたい、医者が知らせたい、がん治療」という
特別シンポジウム。(主催NPO法人 統合医療塾)の話の続きです。

まず、抗ガン剤治療を実施している腫瘍内科医のサイドから、
倉田宝保医師(大阪医科大学付属病院)が
シスプラチン+タキソテールによる肺ガンの奏効率データを上げ、
田原 信医師(国立がんセンター東病院)からは、
5FU+シスプラチン改良型+放射線による
咽頭ガン、食道ガンの奏効率の臨床治療の最新情報が報告され、
さらに「抗ガン剤の過剰投与」や
「副作用・疼痛ケアの問題点」など、
抗ガン剤の「功罪」が公開されました。

そして、次に、代替医療医のおふたりに話が移ったのですが、
ここからは「抗ガン剤治療の弊害」が厳しく指摘され、
一気に会場の雰囲気に、
対決ムードの緊張感がみなぎったわけです。

菅野光男医師(菅野クリニック院長)からは「人体医療ではなく
人間医療であるべきだ」と抗ガン剤の弊害が指摘され、
「酒、タバコ、肉の“三禁交代”」の食生活に改めないと
「日本の国が滅びる」という手厳しい反撃がなされました。
さらに、鶴見隆史医師(鶴見クリニック院長)がより、
「ガンの原因は食事だ」と、30年前に始まった
アメリカの代替療法シフトの歴史が説き起こされ、
「薬剤より栄養学で治療すべきだ」
「日本の医師ももっと栄養学を勉強すべきだ」と指摘。

続く、聴取者を交えたフリートーキングでも、
倉田、田原両医師は、患者の希望は妨げないといいつつも、
代替療法の是非は「エビデンス」(立証性)で決まる。
「データ」のない治療は認められない、
「二重盲検」でキチンとしたデータを出すべきだ・・・
と、基本姿勢は崩さず。
鶴見医師からは、
「免疫データはリンパ球のパーセンテージで分かる」と
反論するも、両者の話は、全く平行線のように見えました。

冒頭、司会者の方からは
「抗がん剤についてどれだけ正しく理解されているでしょうか。
また抗がん剤の使用については西洋医学、
代替補完療法などの各情報が混乱し、
賛成と反対という対立関係のみが強調されがちです。
しかし、患者をはじめ生活者は、それらの情報に振り回され、
信頼すべき場所を模索しているのが現状です。
当シンポジウムでは抗がん剤治療について
西洋医学、代替補完療法それぞれの治療を実践する医師から
意見を出し合い、参加者全員で考えてみたいと思います」
と、このシンポジウムの意義が強調されたわけですが、
やはり、現実には「西洋医学」と「代替医療」の統合の可能性は、
なかなか遠い道でもあるようでした。

というわけで、実際、“抗ガン剤+放射線+代替医療”で
8年延命したガン患者の一人として、僕も質問してみました。
「多くのガン患者が、当たり前のように
大学病院の治療と、代替療法を併用しているというのに、
先生方、双方の距離はあまりにも離れすぎている。
これは患者としては悲しい。
ヨーロッパでは代替医療と呼ばず、謙虚に“補完”医療と呼んで、
双方が共存しているというのに、
せめて、医療を“補完する”という発想は出来ませんか?」と。

しかし、一方はエビデンスを盾に、
一方は、医師の財政的基盤の違いなどを盾に、答えるばかりで、
患者の期待する医療統合と、
医師の現実とはまだまだ違うらしいのです。
ともあれ、この統合医療塾セミナーは
画期的な企画ですから、これは第一歩。
これからも、ぜひ続けて欲しいと、
一患者として期待しております。
なぜならば、300万人といわれる、
ガン延命者の「情報収集力と意識」は、
最近、2〜3年で、相当に進歩してきているからです。


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2007年1月9日(火)

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