元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第1604回
ひらひら! どきどき!

「中高年になったら、よりスピリチャルなものを磨こう」
「小さなトキメキを持つようにしよう」
「自然と共生する生命の躍動
(エラン・ビタール)を大事にすることが、
患者に生きるエネルギーをもたらす」・・・
これが身体だけでなく、
精神や魂も診るホリスティック医学の真髄だと、
このコラムや拙著で書いてきましたが、
別に筆者はガンを長患いして
頭がおかしくなったわけではありません。

西洋医学に限界を感じた帯津良一博士が提唱するように
「自己の養生を果たしていくと、
宇宙、外界の大いなるいのちにぶつかり、
その瞬間、“生命の躍動”【エラン ビタール(Elan Vital)】=
感動の小爆発が起こって、一人一人が歓喜に満ち溢れる」――、
これがホリスティック医学、
スローヘルス患者学の真髄だと思うからです。

さて、こころのトキメキが自然治癒力を喚起する、
そればかりか、感動のヒラメキが創造性を生み出す・・・
という発想は、哲学、物理学、心理学の領域からだけではなく、
脳科学からも研究が盛んになってきました。
いま若者に人気の脳科学者・茂木健一郎さんの発想も、
まさに「生命の躍動(エラン・ビタール)こそ創造の源泉だ」
「創造性は破滅の淵から生まれることだ」と強調しています。

茂木さんの代表的エッセイ
「脳と創造性」(PHP研究所)があります。
もう読んだ人もいるかもしれませんが、
てっとりばやく紹介をすれば、
「コンピュータと人間の脳は決定的に違う!
脳は『創造性』という素晴らしい能力を持っている」
という内容です。
この世は不確定、不透明だからこそ人間は創造し進化した――、
人間がウダウダと悩むことから創造性が生まれる――、
退屈や人生の空白こそ創造を生む源泉だ――、と言うわけです。
ま、筆者の勝手な解釈かもしれませんが、
ガンのような不確定な病気にもこの論理は通用すると思います。

この「ひらめき」「ときめき」を大切にしようという考え方は
「ひらめき脳」(新潮新書)という新書で、
茂木さんが、さらに分かり易く解説しています。
健康や病気という観点からだけでなく
ビジネスの成功やコンピュータ社会の創造性といった方面から、
読むととても示唆に富んだものです。
読んだら、きっと「こころトキメク」はずです。

アハ体験とは、英語圏の人たちが、
ひらめいたときに「a-ha」と
声を出すことに由来するようですが、
「今までわからなかったことがわかるようになったときの
「ひらめき体験」を「アハ体験」と命名し、脳科学の立場から、
これからの世の中の創造的発想法として
いかに大切かを説いています。

物事の変化に気づいたときに、
脳は大きな刺激を受けて活性化するが、
それが「ひらめき」や「創造性」で、
たとえば、リンゴが木から落ちるのを見たニュートンが
重力を発見したことも「ひらめき=アハ体験」。
一度これを体験すると、脳の中で強化学習、さらに、
長期記憶が起り、
次からもアハ体験が起こりやすくなるというわけです。

「ひらめく」= ひらひらするTo flash/flutter
「ときめく」=どきどきするTo pulpitate
つまり「感動の小爆発」とは、
気ずき・インスピレーションであり、
これが脳の記憶装置と連動して具現化するものが
人間にエネルギーをもたらす
創造的なアイディアだというわけでしょう。

これからの情報過多時代は
モノやマニュアルに頼るだけでなく、
とくに心や魂の発揚が大切です。
ビジネスはもちろん、日々の健康にも
「ひらめき」や「ときめき」の体験を大切にしましょう。


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2007年1月17日(水)

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