元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第1606回
世界に広がる「いのちの手帖」の輪

「大変、お手数をおかけしました。
雑誌はこちらで癌と戦っている
日本人たちと拝読させていただきます。
関根さんもお身体お大事に。」(カナダ在住のAさんより)

まえに、「いのちの手帖」や「ガン延命学新書」には
国内のみならず、カナダやオーストラリアの読者からも
問い合わせや注文が入ってきている――
香港の「亜州週刊」という週刊誌でも
表紙の写真入で紹介された ――
ということを書きましたが、
徐々にですが、スローヘルス(温和療法)の輪が、
世界にも広がっているのは、とても嬉しいことです。

読む人だけでなく、すでに、
「いのちの手帖」第2号にも登場していただいているように、
フランス人エッセイストのAキャラビさんや、
サンフランシスコ在住のイディス・シーさん、
さらにスイス在住の佐々木舞さんなど、
海外からの寄稿も増えてまいりました。
ガンは世界に蔓延する、いわば「突発性老化難病」ですから、
洋の東西のしがらみにとらわれず、より多くの患者が
「少しでもよい時間をゆったり過ごす」
新しい治療法や養生の知恵を交換することがとても大切な時代、
まさにホリスティックな「いのちの時代」となってきたわけです。

先日は、上海からも、次のようなメールが来ました。
「関根先生、おはようございます!
私はRと申します、はじめましてよろしくお願いいたします。
今年四月に桐蔭横浜大学大学院から卒業しました、
今中国上海に帰りました。
日本来る前、中国の病院で14年間に働きました。
専門は放射科です。
インターベンション療法を利用して、
癌の治療経験は3年間です、
また、大学院の医用工学部の研究テーマは
癌の光線力学(PDT)治療原理。

今、中国で癌の発病率は第3位になりました、
それは困ることです。みんな癌を発見したら病院にいきます。
私は日本で勉強ときに、いろいろな情報がもらったら、
日本で癌の発病率は中国により低いです。
これは日本人の良い生活習慣と関係があります。
もし、これらの知識を中国人に紹介したら、
絶対良い仕事と思います。
先生は日本でガン治療の権威人士です、
もしよろしければ、私は先生の知識をいただきまして、
中国に紹介をさせます。よろしくお願いいたします」

「ガン治療の権威人士」と言われては
ちょっと面映い感じがしますが、国境を越えて、
こうしたホリスティックな若い医師たちが、
HIQのコラムや、
「いのちの手帖」の愛読者であることは心強い限りです。

ちなみに、インターベンションとは、
皮膚に開けた直径数ミリの穴から
カテーテルと呼ばれる細いチューブを血管に挿入し、
心臓や肝臓などの治療を行う治療法です。
肝臓や脳など放射線科が担当する部位であれば
Interventional Radiology (IVR)と呼ばれます。
患者の負担が非常に少ない治療法として、
最近、注目されているようですが、
傷が小さく、術後3~5日で退院できるために、
患者のQOL(Quality of life)を大きく改善する
治療法と考えられています。

Rさんは、西洋と東洋の医学の知恵を統合した発想で、
これからのガン治療の当たろうという
次世代を担う若き中国の医師ですが、
僕たちの「いのちの手帖」という小さな雑誌が、
このようにして、より多くの患者と家族、
そして心ある医療関係者のコミュニケーション広場として
活用されていることは本当に嬉しい限りです。


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2007年1月19日(金)

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