元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第1645回
白血病からの前進!

第30回日本アカデミー賞で、渡辺謙(47)さんが
主演男優賞を受賞した姿をテレビで見た人は多かったと思います。
映画初主演の「明日の記憶」
(2006年、東映、堤幸彦監督)佐伯雅行役の熱演、
さらに「硫黄島からの手紙」 Letters from Iwo Jima 
(2006年、ワーナーブラザーズ、クリント・イーストウッド監督)
の栗林忠道役の好演が評価されてのことでしょう。
授賞式での「これまで支えてくださった皆さま、
神様、本当にありがとうございました」と
感極まった様子が印象的でした。
いまでは海外でも活躍し、
急性骨髄性白血病・C型肝炎ウィルス感染を
克服した秘話は有名ですが、こうした真摯な姿を見る度に、
多くの難病患者が勇気付けられるものです。

急性白血病の全体の5年生存率は50〜60%といわれますが、
固形ガンと違って、手術ではなく、抗ガン剤の投与が主流となり、
血球減少、感染、出血、
消化器症状をおこしやすい治療となります。
さらに、完治治療として骨髄移植が行なわれますが、
これまた移植後の感染、拒絶反応と闘わねばならない、
とても難しいガンです。

急性骨髄性白血病といえば、
前・日本CI協会・専務理事の花井陽光さんも、
奇跡的に難関を突破した患者さんの一人ですが、
その痛烈な白血病闘病記を「いのちの手帖」に連載中ですので、
読み続けている方も多いと思います。

その花井さんが、ことしのスローヘルス研究会の新年会に、
三年ぶりに元気な姿を見せてくれた様子は、
前に、このコラムで紹介しましたが、
3月10日発売の「いのちの手帖」第3号にも
心身の回復について、切々と綴っておられますので、
ぜひ、読んでいただき、声援を送っていただきたいと思います。
一部を紹介します。

「白血球はゼロを示しました。もはや抵抗力はありません。
口内炎が日増しに悪化し、食事も水も言葉も話せなくなりました。
白い粘液が喉の奥からとめどなく出て、
毎日ティッシュ1箱を使いました。
頭は朦朧とし、幻覚や幻聴も出てきました。
でも、不思議と不安はありません。
トイレは紙おむつに変わりました。
いつの間にか
看護師に下半身をさらけ出す羞恥心も屈辱感も消えました。
白血球の増加という最初の回復の兆しは医師の予告どおり、
移植後2週間目でした。
この後、退院まで2ヶ月の間、急性のGVHDによる
皮膚病、頻脈などありましたが、
ドナーの骨髄も100%生着が確認され、
主治医の言葉通り移植後3ヶ月で退院できました。(略)
退院後の今、人生は有限だということを肝に銘じ、
故郷を離れ新しい生活を始めています。(略)
地方発の“食と環境”
の提案活動を続けていきたいと考えています」

そして、実家のある愛知県で療養を続けるかたわら、
ついに、新しい単行本を書き上げ、送ってきてくれたのです。
嬉しい贈り物でした。
たしかに、いくら「希望を持て、勇気を持て」といわれても、
ガンを抱える患者にとって
再発の不安はぬぐいきれないものですから、
そうそう単純に
「前向きな人生」を再設計できるものではありません。
しかし、はっきりいって、一度、地獄の苦しみを超えると、
それまで感じえなかった、人生の視野が開けてくる、
心魂のエネルギーが向上してくることもたしかなのです。
おそらく、花井さんも、体だけでなく、心のハードルも、
ひとつ乗り越えて、
人生再設計の道が開けてきたのだと思います。

さて、その単行本は共著
「このままでは地球はあと10年で終わる!」(洋泉社)で、
花井さんは第3部の「日本にも迫る温暖化の脅威」を担当。
ただの環境レポートに止まらず、
身近な「いのちの問題」として取り上げていることが注目でした。


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2007年2月27日(火)

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