元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第1646回
美しい国はどこへ?

急性骨髄性白血病を奇跡的に克服した
前・日本CI協会・専務理事の花井陽光さんに
体だけでなく、心のハードルも、ひとつ乗り越えて、
人生再設計の道が開けてきた――、

療養の傍ら、「いのちの手帖」に闘病記を執筆するだけでなく、
共著「このままでは地球はあと10年で終わる!」
(洋泉社)という単行本を書き下ろした――、
あらたなライフワークを見出して、
前向きに、心身の再設計を続けている花井さんの話の続きです。

この温暖化警告の単行本の中の第3部
「日本にも迫る温暖化の脅威」を花井さんが担当しているのですが
ただの環境レポートに止まらず、
身近な「いのちの問題」として取り上げている――内容ですから、
興味のある方はぜひ読んでみてください。
一部を紹介しましょう。

「東京が鹿児島と同じ気候になる」
「1メートルの海面上昇で日本沿岸の砂浜の90%がなくなる」
「0.8メートルの海面上昇で現在の東京駅が海岸線となる」

花井さんは、「美しい国はどこへ――。」と題して、
「65年後の2071年までに日本の夏の平均気温は4度上昇する」
といった、
東京大学気候システム研究センターのデータなど
じつにこまかい温暖化データを駆使して、
日本のこれからを警告予測しています。

このレポートの中で、
とくに読み応えのあるのは、
「温暖化と日本の食糧」にかかわる指摘でしょう。

ニュースでたびたび話題になる「熊が人里に出てくる」、
「日本の近海に越前クラゲが異状発生する」現象は、
まさに温暖化危機の序曲だとし、
季節の変化や海岸線の水浸しだけでなく、
もっとも身近な「食料といのち」の問題に
パニックを引き起こすだろうと警告しています。
地球全体の温暖化、穀倉地帯の北上化によって、
潜在的穀物生産量が激減するわけで、
食料自給率40%の日本の食糧不足を加速するという指摘です。

「農林水産省の『代表的な朝食献立の食料自給率』(二〇〇三年)
によれば、ご飯、味噌汁、干物、漬物など和食を選択した場合、
64〜85%と高自給率を示すが、
食パン、ハムエッグ、サラダ、牛乳などの洋食を選択した場合は
3〜15%までダウンしてしまう」というデータを上げ
「温暖化によって、欧米化した食のスタイルが
和食に回帰せざるを得なくなるのは皮肉です」
と、いかにも、花井さんらしい問題提起を
「温暖化環境問題」に敷衍して指摘しているのが、
面目躍如といったところだなあと、僕は感じました。

肉食脂食の輸入食・欧米食の「過食ニッポン」に、
地球・自然全体が「警告」している・・・とすれば、
この温暖化を契機に、
僕たちはもう少し真剣に
「食料といのち」の関係を考え直すべきではないでしょうか?

花井さんは、かつて、マクロビオティック食養生法の
総本山である日本CI協会で
月刊「マクロビオティック」の編集長まで勤めてきた
経歴の持ち主ですから、これは当然の視点でしょうが、
「いのちの危機」を体験した人ならではのレポートでしょう。
読み応えがあります。
これからのますますの健闘と健筆を期待したいと思います。


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2007年2月28日(水)

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