元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第1694回
ドイツ医師の8割が自然療法士

いま美容に健康に、病気予防に、
アロマセラピー(芳香療法)、や
ハーブエキスのような植物療法=フィトセラピーが
注目を集めている――、
その中でも、ドイツの植物療法は、
日本ではあやふやな「品質、効果、安全」のチェックシステム
(審査制度)が
じつに先進的な分類法と規格法によって確立されている――、
そして、ハーブが健康食品としてだけでなく、
3000種類近い製品が、
厳格な審査の元に医薬品としても認められている――
という、「植物製剤・規格化の父」として
世界的に知られているドイツのハインツ・シルヒャー博士が語る、
来日講演の興味深い内容を、何回か前に紹介しました。

日本では、ハーブ、薬草など植物製剤を始め、
健康食品(栄養補助食品)というと
「品質、効果、安全」のチェックがあいまいです。
それに比べて、ドイツでは、いかに国民の健康維持と医療制度が、
論理的に客観的に規格化されているか? 
『日独』の健康づくりの差を感じさせる講演内容でした。
ちなみに、ドイツの植物製剤は、
以下のように分類、規格化されているようです。
簡単におさらいしましょう。

        *

【シルヒャー博士の講演内容】
「ドイツとヨーロッパの植物療法=フィトテラピーの現状と将来像」
ドイツの植物製剤は「品質、効果、安全」の面から
5つのグループに分けられます。
このうち(1)合理的植物製剤、(2)伝統的植物製剤と
分類されたハーブなどの半数が、
公認の医薬品として認められている。
●ドイツの植物製剤の区分について
(1)合理的植物製剤=ドイツ薬事法105条に認められたもの。
   イチョウ葉、エキナセアなど薬用植物
   (精油を含む)、約2100種類。
(2)伝統的植物製剤=ドイツ薬事法109a条、
   EU医薬品条例に認められたもの。
   30年以上、使われてきた伝統的植物製剤で
   臨床試験の必要なし。
   1100種類。
(3)代替療法に使用される植物製剤
(4)トランスカルチャー療法(多文化民族療法)
   に使用される植物製剤、
   つまり、アーユルヴェーダ、漢方、チベット医学など
(5)健康食品(栄養補助食品)

さらに、いわゆる健康食品=栄養補助食品も
品質で4つのカテゴリーに分けられる。
(1)第一カテゴリー=合理的薬剤相応の品質基準で
  法的には表記できないが学術的には医薬品相等のもの。
  医薬品認可のための経済的余裕がない製品もここに入る。
(2)第2カテゴリー=有用成分が、そこそこに含まれているもの。
(3)第3カテゴリー=一般的な食品程度の栄養が含まれているもの。
(4)第4カテゴリー=品質チェックなしに
  ネットやスーパーで売られているもの。
  薬事チェックが杜撰なものが多い。

           *

いま、美容に健康に、
日本でも人気の植物療法=フィトセラピーの製品チェックが、
ドイツでは論理的にシステム化され、
活用されていることに驚いたと思います。
その背景には、50年、100年かけて培われてきた
ドイツの「自然療法」と「近代西洋医学」を共存させる、
ホリスティックな(全人的な)
医療システム発想があったからでしょう。

詳しくは省きますが、
ドイツの医師の8割が自然療法士の資格を持っており、
植物療法について とくに合理的植物製剤=医薬品について、
医学部を持つ36の大学のうち20の大学で教えられている――、
また、薬学部を持つ22の大学で医者と共同研究をしている――、
さらに植物療法全般については、自然療法推進の専門学校で、
盛んに研究、普及活動が展開されている――と説明されていました。
このあたりに、漢方や伝統療法、自然療法を無視し、
「治療を機械修理のように片付ける」近代西洋医学一辺倒の日本と
ドイツの、「健康づくり」「いのちの発想」の違いがあるわけです

こうした「ハーブ濃縮エキス」などの植物製剤が、
日本では健康食品として
輸入されているわけですが、では、どんなハーブ製品があるのか?
続きは、また明日、レポートしますが、
その主たるものが「レホルム製品」と呼ばれ、
110年の歴史を持つ、
「ドイツ・レホルムReform」運動の中で作成された、
厳しい審査基準を通った植物製品なわけです。
ちなみに、レホルム運動とは、産業革命の最中にドイツで起った
「自然でホリスティックな健康づくりの実現を目指す運動」ですが、
この「自然回帰の生活改善運動」を背景にして、いまでは、
約5900種類の高品質ハーブ製品が、
75社で製造販売されるようになり、
世界43ヶ国に広がったというのです。


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2007年4月17日(火)

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