元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第1731回
人生80年と「本の読み方」

喜寿77歳・竹村健一さんに聞いた、
「身魂心」丸ごとのエネルギーの高め方の話の続きです。

竹村さんというと、テレビや講演の合間に、
よくソファーに寝そべっているプライベートな写真が公開されて、
一見、「遊びの達人」にように見えますが、
じつは、とても勉強家なのです。
いまだに、暇があれば、寝そべりながら、
英語の雑誌や書物を読んでは、
気のついた部分を切り抜いたり、メモしています。
年をとったら、ただ体を気遣うだけでなく、
元気で若生き!心(精神性)も魂(感霊性)も高める――、
ホリスティックなライフスタイルを昔から心得た人なのですね。

連休中に箱根でお会いしたときも
こんなことをいっておられました。
「年はとっても自分が何をしたいのか? 
何をすれば楽しく過ごせるか? 
このトキメキの気持ちを失わない限り
元気で長生きできると思っています。
どんなに小さなことでもいい。
1日にひとつ、感動するものとの出会いを持ちたいものです。
僕は講演会場への移動中、電車や飛行機のなかで
読書をすることを愉しみのひとつにしています。
確かに疲れますが、本当にいい本に出会ったときは、
心身の底からリフレッシュされるから不思議ですね」

そして、550冊以上の著書を持つ竹村さんの「人間力」というか、
「身魂心」パワーの秘密は、
溢れる情報の「選択力」にあるようです。
ちなみに竹村健一さんには、
長男の竹村真一さん(京都造形芸術大学教授)
との「人間力」という共著があります。
面白いのは、竹村真一さんが開発した、
地球上の地震情報などを一覧できる
「どこでも博物館」といったWEBシステムなどの紹介ですが、
本書の一つの価値は
「図書館」より「蔵書」の選択についての話です。
インターネットが普及した現代は「知識のインフレ」の時代・
検索エンジンを用いれば、
キーワードに対して数百の情報が引き出されるため、
「インフォメーション(情報)を編集して、
ひとつのインテリジェンス(知恵)に高めることが必要」
と説いている話がポイントです。
納められている本の数よりも
本の選択や並び方に価値があるのだ!というわけです。

僕は、このコラムで、「40歳からの魂進化論」にこそ、
この長寿時代をよりよく生きるためのカギが秘められている――、
40歳を過ぎたら「夭折」より「長命」作家の本を再読しよう――、
と提案してきましたが、このインターネットの時代に、
むやみと溢れる情報を仕入れていたのでは疲れるばかりです。

本を読むにしても、竹村さん親子が奨めるように、
「自らの蔵書」=「MY蔵書」の選択力を磨くことが
これからますます大切になってくると思います。
その「MY蔵書」の作り方のポイントは、
まえにもこのコラムで書いたように
「古典に学ぶ」ことにあると思います。
竹村さんは、性悪説で知られる「荀子」を手本としているようで、
「『荀子』人生で学ぶべきこと」という本も著作にあります。
古典に学ぶといっても、決して、東洋のものばかりに限りません。
学生時代に読んだ西洋の哲学書や歴史書、
小説、随筆も再読してみましょう。
きっと、あなたの魂を進化させ、死の恐怖も乗り越える
「大いなる心(精神)」のエネルギーに抱かれる幸運を
掴めるはずです。

40歳を過ぎたら、
学校で人生観や世界観を教わるわけには行きません。
ましてや、企業や国家に、
自らの後半生を丸ごと託すのは愚の骨頂でしょう。
自分で処世設計を創造できる年代が「40歳から」ですから、
人生の先達の心身の苦悩を克服する知恵を学ぶには、
言い古された話ですが、「古典に学ぶ」ことが近道だと、
僕は、77歳の竹村健一さんの話を聞きながら、再確認しました。
ちなみに、大学受験戦争のために、
「世界史」の授業を教えなかった、
高校の中高年教師たちの価値観の堕落には呆れるばかりですね。


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2007年5月24日(木)

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