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         第1800回 
          「朝の気功に 夜の酒」 
        「これまでの養生は、身体が対象であった。 
          病を未然に防ぎ、天寿をまっとうするといった、 
          やや消極的で守りの養生であった。 
          しかも、死をもって終われりである。 
          これからの養生はちがう。 
          日々、命の場のエネルギーを高め続け、 
          死ぬ日を最高にもっていくのだ。 
          積極的で攻めの養生である」 
           
          コレを持論とする、僕の主治医で 
          ホリスティック医学の草分けである、 
          帯津良一先生が、「本の窓」という雑誌で 
          分かりやすく解説した 
          『ホリスティックケアのすすめ』と題する 
          エッセイの紹介の続きです。 
        「人は決して明るく前向きにはできていません。 
          明るく前向きは世を忍ぶ仮の姿なのです。」 
          「哀しみ→希望→ときめき→ 
          明るく前向き→哀しみといった心の循環が出来上がります。 
          この循環が一回りしていくたびに養生の道を 
          一歩向上していくのではないでしょうか。 
          大事なのはこのこころのときめきです」――、 
          と「攻めの養生法」の第一は「こころの養生法」にありと、 
          帯津医師は説きます。 
          それでは、第2、第3の「攻めの養生法」はなにか? 
                   * 
        次は食の養生です。 
          これは溢れ出た大地のエネルギーを 
          作物をとおして体内に入れることにほかなりません。 
          大地のエネルギーをふんだんにもった旬のもので、 
          地場のものがいいのは当然です。 
          これまでの食養生が唱えてきたとおりです。 
        しかし、こうした食材の配慮以上に 
          大事なのがこころのときめきです。 
          旨い! と、ときめかなくてはなりません。 
          目には青葉山ほととぎす初鰹(素堂) 
        ときめきますねぇ。 
        三つ目は気の養生です。 
          これはなんといっても気功です。 
          気功は三千年の歴史を有する中国古来の養生法。 
          正気を養うことを主たる目的とする自己鍛錬法、 
          と中国では定義されています。 
          調身、調息、調心の三要素を果たすことによって、 
          虚空と一緒になることが気功の眼目です。 
          腹筋だ、横隔膜だといっているのではまだまだです。 
        虚空と一体となるためには、 
          まず身心を虚空に向かって寛放することです。 
          こころがときめきますよ。 
          ここでまた、ときめきです。 
                 * 
        これが帯津流の「ときめきの攻めの養生法」の3原則= 
          極意だというのです。 
          そして、最後に、 
          まさに人生丸ごとがしなやかな帯津良一医師らしい 
          ゆったりとしたユーモアのある一句で、 
          このエッセイは締めくくられておりました。 
          「そうそう、身心を寛放する大事な方法がもうひとつありますよ。 
          なにを隠そうお酒ですよ。 
          そこで、もう一句。 
          目には青葉朝の気功に夜の酒」 
        ――だそうです。 
           
          ともあれ、「こころのときめき」こそ、 
          自分らしく、伸びやかに生きる 
          「攻めの養生法」の極意というわけでしょう。 
          僕自身は、もう酒は飲みたくありませんが、 
          改めて、ときめきながら、 
          いのちのエネルギーの向上に励んで 
          楽しく生きていきたいと願っています。 
          みなさんも、ぜひ、愉しみながら 
          「養生」していきましょう。 
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