元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第1836回
医師のガイドラインを凝視せよ

いくらエビデンスの高い、
信頼性のある「標準治療」だといわれても、
僕の9年のガン患者経験から言っても、
延命の規準は「医師のガイドライン」だけに寄り添うのではなく、
まず自らの「人生観のガイドライン」に従うべきだ――、

なぜなら、医師の職業上の都合で
決められた治療ガイドラインとは、
複雑な「人間のいのち全体のレベル」に対応したものではなく、
極論すれば「壊れた機械(臓器)修理レベル」に
対応したものに過ぎないからだ――、
ですから、ますます、「いのち」を見つめるガン患者と
「壊れた機械」を見つめる医師の間の「体感距離」が広がって、
治療の行き違いが頻発する――、という話の続きです。

たとえば、胃ガンの場合の医師のガイドラインとは
以下のようなものです。
《ガイドライン》
平成11年11月に日本胃癌学会標準治療検討委員会は、
胃癌治療ガイドライン(案)を発表、
今後はこれを基準として、
本邦の胃癌に対する標準的治療法が
確立されて行くものと思います。

●病期分類別の治療法の適応――、
・内視鏡的粘膜切除(EMR)
・縮小手術    (2.0cm以下)
・定型手術    (2.1cm以上)
・拡大手術
・姑息手術
・化学療法
・放射線療法
・温熱化学療法
・レーザー治療
・緩和医療

個人の複雑な症状を長く問診、触診するのではなく、
あくまで機械検査のデータに従って、
初期なら内視鏡手術、進行ガンなら切開手術、
再発転移なら化学療法から温熱化学療法まで、
まるでロボット修理のように割り当てて治療を施すわけです。

多くの医師が、それぞれの5年生存率の詳しいデータなど
30分も1時間もかけて患者に説明しませんので、
中には、このインターネットの情報時代ですから、
内視鏡手術なら90%の奏効率、
5年生存率は病期Iが88.7%、病期IIが63.6%、
病期IIIが43.7%、
病期IVが18.9%などとデータを患者も調べたりして、
病院の指令どおり、メスや化学劇薬に身を任せるわけです。
さらに、胃は食道や肝臓、膵臓のガンとは違って、
外科医に言わせれば切りやすい手術だそうですから、
患者も納得して受けているわけですが、
大半の患者が、また再発の憂き目に遭うことになります。

いろいろな患者会に招かれて出てみると、
もう、下手な医師より自らのガン治療について
勉強している人がいて、これはとてもよいことだと思いますが、
自分が患者というより医師と同じレベルで喋っている――、
医師の「機械修理」式のガン治療・ガイドラインにそって、
奏効率がどうの、エビデンスがどうのと
とうとうと説明していますが、はたしてこれだけでいいものか?

医師のガン治療・ガイドラインとはあくまで、
医師の職業上の規制ガイドラインですから、
いのち丸ごとが気になっている患者主体のガイドラインには
なっていないと割り切って調べるべきだと、僕は考えています。

もちろん、治療や養生に絶対はありません。
しかし「ガン難民」「患者漂流」とならないためにも
ますます、西洋医学の限界を知って、
賢く「いのち丸ごと、患者主体の治療」を
探し出すことが大切だと思っています。


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2007年9月6日(木)

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