元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第1869回
これが前立腺ガンのブラキセラピー療法だ(1)

いま発売中の「いのちの手帖」第4号に特集された、
ブラキセラピー療法で前立腺ガンを克服して3年の
翻訳家の藤野邦夫さんによる
「最前線医学情報=
急増する前立腺ガン、子宮頸ガン、食道ガン・・・
10年治癒率で優れているブラキセラピー療法」と題する、
7ページに渉る特集の抜粋紹介の続きです。

             *

そもそもガンをやっつけるには、
できるだけ強い放射線をあててやれば効果があがります。
しかし、外照射で強い線量をあてようとすれば、
現在の進歩した機械や技術を使っても
副作用を覚悟しなければなりません。

そこで総線量を小分けにして、
2グレイ程度の放射線を月曜日から金曜日まで、
六〜七週にわたって照射するのが
外照射による標準的な治療方式になっています。

ところがブラキセラピーは、
放射性物質を封入した線源を腫瘍のなかや表面において、
強い放射線をじかに浴びせます。
このとき照射距離が短いことが有利に作用して、
ほかの健全な臓器や組織にあまり影響をあたえません。

さらに、ここで使われる放射性物質の特徴は、
半減期が非常に短いことにあります。
たとえば「前立腺ガン」に使う
「ヨード125」の放射能は二か月で半分になるので、
六か月もたてば問題にならないレベルに低下します。

つまりブラキセラピーは安全度が高く、
手術にくらべて身体的なダメージがなく、
治療時間や治療期間が短いという、
患者のQOLという視点からすれば、
より望ましい治療法だということになります。

しかし、ブラキセラピーといえども
オールマイティではありません。
あまり大きなガンは治療できませんし、
「舌ガン」などの治療のばあいには、
医療側に被曝の問題がおこります。
なお、これらの放射性物質はチタンなどの
小さなカプセル(線源)に封入されるので、
ブラキセラピーは「小線源療法」とも呼ばれます。

ブラキセラピーの歴史は、
フランスのキュリー夫妻がラジウムを発見した
1898年にはじまりました。
ちなみにフランスでは夫妻に敬意を表して、
ブラキセラピーを「キュリーセラピー」と呼んでいます。

そして早くも1903年に、
電話を発明したアメリカのグラハム・ベルが、
放射線でガンの治療実験をした医師に、
「細いガラス管に放射性物質を封入して、
ガンの中心部に挿入してみたらどうだい」
 と提案しました。
こうして20世紀の最初の10年間に、
ガラスの毛細管を使ったブラキセラピーが、
前立腺ガンを対象に実施されました。(略)


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2007年10月9日(火)

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