元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第1997回
再び「偽食から正食へ」(1)

「消費者が全国各地で不調を訴える=
中国製ギョーザを保健所が調査」
という食の汚染、食の堕落を伝える食中毒ニュースには、
「こりゃ、他人事ではない!」と、
誰しもが目を見張ったと思います。
1月5日、兵庫県で1家族3名、
1月22日に千葉県で1家族5名の
有機リン中毒の疑いがある事例が発生したのが
事件の発端のようでした。
じつは、検出された毒物は有機リン系物質「メタミドホス」という
殺虫剤で、2004年には四川省などで
中毒による死亡事故も起きていたことが分かったわけです。

さっそく、
冷凍ギョーザを輸入していた日本たばこ産業(JT)の子会社・
「ジェイティフーズ」や冷凍食品大手の「加ト吉」などが自主回収。
そうした冷凍食品の製造である
中国河北省の「天洋食品」から
「ピリ辛カルビ炒飯」を輸入していた「味の素」、
さらに「DONBURI亭かつとじ丼」を輸入した
「江崎グリコ」も自主回収という
食品大手や冷凍食品業界を巻き込んでの一大騒動となったことは、
みなさんもご存知のとおりです。

さて、このコラムでも年初早々「新春対談「偽食から正食へ
(第1953回)で、
食品汚染と食生活の見直しについて警告しました。
「昨年、2007年の世相を象徴する「漢字」一字が
「偽」と決まった。
第1位が「偽」、第2位が「食」というから、
2007年は、まさに「偽食」の年だった――、
不二屋から赤福、船場吉兆などの賞味期限表示違反、
地鶏などの原産地表示違反、
さらに中国輸入加工食品の違法農薬の使用違反などなど
食べ物に関する表示の「偽装」が横行――
2008年こそマクロビオティックの食哲学に倣って、
「飽食から正食へ」「偽食から正食へ」・・・
これを目標にしてください――」
というメッセージを送ったのですが、
とうとう、食中毒の実害が出て、それも
大手食品企業を巻き込んでの「偽食」事件ですから、
新聞やテレビでは、さかんにコメンテーターたちが、
監督官庁の取締り強化や、
企業の対応の遅れについて指弾していましたが、
たしかにそれは正論でしょうが、
この食汚染の悪環境が蔓延する、
コンビニエンス産業化や食料輸入依存主義の弊害について、
さらに、コメンテーター自身も含めて、
もっと一人一人の食ライフスタイル、そのものについて、
考え直す時代が来ていることを取り上げるべきだと思います。

食品問題に限りませんが、
今の時代、消費者問題の不祥事が起これば
「これからはコンプライアンス(企業倫理)を高めます」
といって、
企業のトップが打ちそろって頭を下げて謝る、
官庁は法律を厳しくする・・・、
そして、マスコミがそれを嬲(なぶ)る。
とにかく、その場限りの処理で済まそうとしています。
社長や役人は自分の任期をなんとかやり過ごせればよしと
みんな逃げ腰ですが、はたしてこれでいいのか?
これでは、不祥事と取締りの追いかけごっこを繰り返し。
年金事件ではありませんが、最後は、年金漏れにあった人、
食中毒にあたった人は「不運」だったんです・・・
などという、
じつに品性下劣でニヒルな社会へと転落していくわけです。

景気も減速し、環境問題も考えざるを得ない
成熟期の中にいる僕たちは、
そろそろ、足元から、
クイックではなくスロー社会の発想を見直すべき時代でしょう。
精神性や知性を総動員する構造改革とは一朝一夕にはできません。
欧米の制度を借りてきてもできません。
日本人らしい身と土に根付いた食生活、
いや「いのちの場」の形成のために、
一人一人が発想転換しなければならない時期を迎えていると、
僕は思っています。

という意味で、
月刊誌「むすび」1に掲載された新春対談を紹介し、
「美食」「飽食」のみならず「偽食」から、わがいのちを守る!
「偽食から正食へ!」とメッセージを送ったわけです。
ますます、自然食、有機農法のみなさんとのネットワークを
しっかりしたものとし、
日本人らしい食の知恵を日々、心がけていきたいものですね。


1 http://www.macrobiotic.gr.jp/musubi/top/index.html


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2008年2月14日(木)

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