元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第2038回
125年前の「漢方医学の冷遇」

いまのガン治療は、
なぜ「手術」「抗ガン剤」「放射線」しか認めない、
偏狭な西洋医学一辺倒の医療システムになったのか?
今発売の「月刊マクロビオティック」の
歌人・翻訳家の持田鋼一郎さんの連載コラム
「著作でたどる桜沢如一の思想と人間」に、
その経緯が分かりやすく書いてある・・・という話の続きです。

桜沢如一とは、このコラムでも何回も紹介していますが、
マクロビオティック玄米菜食法の提唱者で、
明治、大正、昭和と、世界をまたにかけて活躍した、
食養指導家、いや、じつに
ホリスティックな発想の自由思想家です。

「月刊マクロビオティック」は、
その桜沢さんの遺志を受け継いで、
その哲学と実践、さらに料理法などを満載する
マクロビオティックの総本山・
日本CI協会が発行する会員誌ですが、
毎月、持田さんが、桜沢如一の「思想」について
分かりやすく解説しているコラムが
「著作でたどる桜沢如一の思想と人間」です。
今月は、20世紀初頭のフランスの医学者・ルネ・アランジー
の「西洋医学の新傾向」を桜沢さんが
翻訳したという逸話が書かれています。

「なぜ、いまの医学が西洋医学一辺倒になったか」
「日本の西洋医学は、まだ125年しかたっていない」という
経緯が書かれています、
明治政府の政策の最大の誤りの一つが
「漢方医学の冷遇」だというのです。
「明治16年、『医業開業試験規則』、
『医師免許規制』の二つの布告がなされ、
西洋医学のみが官許の医学とされ、
漢方医は一代限りの身分とされた。
以後、漢方は公的な医学の世界から
追放されてしまった。」と。

そして、ヨーロッパ生活の長い桜沢如一は
かの地では日本と違って
多くの代替療法が治療効果を挙げている熟知しており、
「パスツールやコッホに代表される
細菌学中心の医学ばかりではないこと
を日本に紹介する必要を痛感」。
「医学に全体性を回復することの重要性を説き、
その立場を新傾向」とする、
ルネ・アランジーというフランスの医師が書いた
「西洋医学の新傾向」という本を翻訳した・・・
と持田さんは紹介しているわけです。
この本は昭和6年(1931年)12月に
「西洋医学の没落」というタイトルで先進社から
刊行されたわけですから、いまから77年前に
すでに西洋医学一辺倒に警鐘を鳴らしていたことになります。
人間丸ごとの治療=ホリスティック医学というと、
いま日本の権威である帯津良一医師が、
哲学者ベルクソンの精神進化論
「創造的進化」に原点を求めていますが、
アランジーもベルクソンのいう
「生命の神秘と謙虚に向かい合う」立場にたっているようです。

僕は、この桜沢如一・訳の「西洋医学の没落」を
手に入れることが出来ず、
詳しくは読んでいないのですが、
「月刊マクロビオティック」1 
持田鋼一郎さんの連載コラムは、桜沢思想はもちろん、
いまの医療のあり方について、
じつに示唆の多い内容が毎号続いていますので、
食事療法に関心のある方に限らず、
興味のある人はぜひ熟読することを奨めます。


1 http://www.ci-kyokai.jp/


←前回記事へ

2008年3月26日(水)

次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ