元週刊ポスト編集長・関根進さんの
読んだら生きる勇気がわいてくる「健康患者学」のすすめ

第2063回
拙著「大正霊戦記」、いよいよ発売

拙著「大逆事件異聞――大正霊戦記――
沖野岩三郎伝」という、ちょっと渋い人物評伝が
いよいよ、本日、4月20日から発売です。

皆さんも学校でちょっとは習った覚えがあるでしょうが、
いまから100年ほどまえに、
当時の進歩思想であった
社会主義、無政府主義思想の天才的論客・
幸徳秋水以下12名が不敬罪で絞首刑とされた
日本全土を恐怖の渦に巻き込んだ
「天皇暗殺未遂・大逆事件」が起こりました。
今度の本は、この「でっちあげ」や
「冤罪裁判」の疑惑を激しい監視下で告発し、
唯一人、反戦、自由、平等を訴え続けた
大正期の稀有な作家の物語なのです。

人権と平等が声高に叫ばれ、
「裁判員制度」が施行の運びとなる
いまの時代では信じがたい言論弾圧で、
「人のいのち」がないがしろにされた事件でした。
こうした日本ゆえに背負ってきた「歴史の真実」をタブー視し、
封印して、未来の「国家の品格」も
「日本人の生き方」も語れるはずはありません。

じつは、この主人公・沖野岩三郎は
僕の母方の祖父でして、
事件はまさに凄惨な展開であり、
古い資料から構成しているので
ちょっと難しい文語表記もありますが、
なるべく、いまの若い人たちにも
分かりやすく書いたつもりですので、
ぜひ読んでおいて貰いたいと思っています。

もう、100年前を語れる人はいませんし、
僕自身、祖父や両親から伝えられたことを
語り継いでいかなければならない
いい年恰好になってしまいましたから、
思い切って書き下ろしたわけです。

大逆事件の本は、すでにいろいろ出ていますし、
これから事件100年を記念して多くの本が出るでしょう。
たいていが、政治史、社会運動史、
そして文学史、思想史、言論史の側面から
「でっちあげ事件」を告発するものですが、
こんどの「大逆事件――大正霊戦記――沖野岩三郎伝」は
ちょっと趣が違います。
『大正霊戦記』などと命名しますと、
なにやら事件の最中に、おばけや妖怪変化の出てくる
オカルト評伝と勘違いされるかもしれませんが、
そうではありません。

記号論風にいいますと、
「メスメリズム」(心霊催眠術主義)と
「シネルギズム」(協働神化論)という、
ふたつの「いのち」のキーワードを使って、
真相を解き明かそうという、ノンフィクション評伝です。
明治、大正、昭和の近代史の底流に流れる、
日本と日本人特有の「魂の葛藤」を描いた
「いのちの歴史劇」と思って読んでください。

たしかに事件は近代社会運動史を画する凄惨な出来事ですが
それに関わって絞首刑となった幸徳秋水や大石誠之助ら、
さらに、その真実をペンで告発し続けた、この本の主人公で
作家の沖野岩三郎たちが胸に秘めた、
「こころの自由国建設」という
「魂の高揚」を見逃してはなりません。
それこそ、いまの時代に語り継がれ、
いまの人たちが受け止めるべき大切なキーワードでしょう。
僕は、その構想を練って
「大正霊戦記」という350ページの本を書き下ろしたわけです。


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2008年4月20日(日)

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