旅行記者・緒方信一郎さんの
読んでトクする旅の話

第99回
「お客様は神様」ではありません

飛行機という乗り物が一般化するとともに、
機内で傍若無人な振る舞いをする乗客が増えてきています。
テロ事件の影響もあり、航空業界では現在、
世界的に機内での迷惑行為への対処の仕方が厳しくなっています。
日本でも来年1月から新しい改正航空法が施行され、
機内迷惑行為(正式には安全阻害行為)を働いた乗客を
法で罰することができるようになりました。

簡単に言うと、トイレでタバコを吸う、
携帯電話などの機内での使用が禁止された機器を作動させる、
シートベルトの着用やリクライニングを元の位置に戻すといった
乗務員が安全上に問題があるとの理由でした指示に従わない、
そんな行為を行った乗客に機長は禁止命令を出すことができる。
そして、その命令に従わなかった乗客には、
50万円以下の罰金を科すことができるという法律です。
実際には、乗客や乗務員に暴言を吐いたり、
暴力やセクハラ行為を働いたときに、
この法律が有効になるケースが多いと思われます。

ちなみに、飛行機先進国のアメリカでは、
この機内迷惑行為の数々をユーモアたっぷりに描いた本を
航空会社のスチュワードが書いています。日本語に翻訳され、
「機上の奇人たち(文春文庫)」というタイトルで
出版されていますから、興味のある方は読んでみてください。
はちゃめちゃな行動をする乗客(もしくは乗務員)たちに、
驚きつつも、笑いがこみ上げてきます。

かつて、客室乗務員は、「花のスチュワーデス」などと呼ばれ、
高額な給料をもらっていたわけですが、最近は事情が激変。
若手の乗務員などアルバイト契約で、年収も200万円台から始まる。
そうして人件費を削ることで、航空会社は乗客に安い運賃を
提供できるという面があるわけです。
飛行機の中ではたまたま立場が乗務員と乗客に分かれているだけ。
そう多くの人が気付けば、機内でのモメ事は減るかもしれない。
上記の本を読んだら、そんな感想を持ってしまいました。


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