旅行記者・緒方信一郎さんの
読んでトクする旅の話

第98回
旅行会社ジェットセットの倒産に学ぶこと

ジェットセットという旅行会社が、9月4日木曜日に倒産しました。
この旅行会社は従業員30数名の中小エージェントで、東京のほか、
大阪や名古屋に営業所をもっています。
負債弁済額は7000万円強だということです。

ジェットセットは取材をしたことのある旅行会社のひとつです。
ここはマレーシア航空を使ったツアーや格安航空券の手配に強い。
マレーシア航空といえば割安な旅行によく使われますし、
ノースウエスト航空のマイレージにもマイル加算できる。
そのため、ファンも多いのですが、周知の通り、
今年はSARSが流行しました。その影響をマレーシア航空も受け、
今回の倒産に少なからず影響を与えたと思います。

これまでも航空会社側への支払い遅延などが起こり、
会社の印象も一時期ほどの勢いがなかったのは確かです。
ジェットセットは、90年代の旅行代金が値下がりしていった頃、
格安旅行を積極的に販売した旅行会社の1社です。
エイチアイエスやマップツアー、四季の旅社、総合旅行などと
並んで活躍しました。
しかし、そうした旅行会社の中で、「勝組み」として
生き残っているのはエイチアイエスなど一部だけで、
四季の旅社や総合旅行は、今は存在していません。

格安旅行は今ではJTBや日本旅行などの大手旅行会社でも
販売されているため、競争力を失っていく中小エージェントは多い。
ジェットセットもとうとう時代の波に飲まれてしまったのでしょう。
ただ、思うのは、やはり一般旅行者の損害です。
今回の倒産について、もし弁済金が不足していれば、
旅行がキャンセルになった上、代金が全額補償されない事態が怒る。
経営状態が芳しくない旅行会社を名指しすれば、
「風評」によって余計に営業しづらくなると当事者側はいう。
一方で、消費者には知る権利があるわけです。
それは他の業界でも同じでしょうが、
いずれにしろ、旅行者としては値段ばかりに目を向けず、
「信用できる」と思える旅行会社を選んで自衛する必要が
ありそうです。


←前回記事へ 2003年9月8日(月) 次回記事へ→
過去記事へ 中国株 起業 投資情報コラム「ハイハイQさんQさんデス」
ホーム
最新記事へ