旅行記者・緒方信一郎さんの
読んでトクする旅の話

第161回
海外へ行けないジレンマ

海外旅行が好きな人にとって、
今はどうも受難の時代のようです。
オンシーズンの東南アジアに出かけようと思ったら、
原因不明の肺炎が流行する。
春休みにヨーロッパ旅行を計画したら、
中東で戦争が勃発してダメになった。
ここ一年ほどでそんな経験をした方は、
一人や二人ではないはずです。
自分は行こうとしたのだけど、
親に、家族に、友人に止められた。
そんな人も少なくないはずです。

それは、海外に出かけたい人にはジレンマです。
私のように旅行を題材に記事を書いている者なら、
自分の運命は神のみぞ知る、とでも考えて、
SARSの最中に東南アジアに出かけもしますが。
(実際には行き先がタイでしたので、
そんなに大袈裟に考えたわけではありませんでしたが)
普通の旅行者なら躊躇するのが当たり前です。

ですから、安全になると旅行好きな人たちは、
続々と海外へ旅立っていく。
今年は前半からイラク戦争、SARS禍と、
旅行気分を阻害する出来事が続きました。
ですが、7月に入り、そろそろ大丈夫だということに
なると、旅行者が急増しました。
たとえばヨーロッパの場合、例年なら10月に入ると、
旅行者が減るのですが、今年はなかなか減らなかった。
いつもならヨーロッパは6月頃から旅行者が増えるのですが、
今年はSARSなどの影響で、皆さん、旅行を計画するのが
遅くなった。そのため、ピークが長引いたのだと思います。
秋になっても暖かい日が続いたのも一因かもしれません。

今年ほど極端ではなくても、テロやSARSの心配は、
まだ当分、消えそうにありません。
海外旅行好きとしては、なかなか行けないジレンマを
感じつつ、タイミングを見計らって出かける。
そんな時代がしばらく続きそうです。


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